高校の1人1台端末「整備する意志は明確」 萩生田文科相

高校の1人1台端末「整備する意志は明確」 萩生田文科相
記者会見で質疑に応じる萩生田光一文科相
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 GIGAスクール構想で対象となっていない高校の1人1台端末の整備について、萩生田光一文科相は10月9日の閣議後会見で、「高校の授業でも1人1台端末の環境を整えていくべきだ。整備していく意志は明確に持っている」と述べ、国として支援方法を検討していく考えを明らかにした。その上で、来年度予算の概算要求で高校の1人1台端末整備を検討した経緯について、「高校の場合、普通科と職業科では、扱うパソコンのスペックがものすごく違う。そうした実態が明らかになったので、来年度に整理したい」と説明。来年度予算概算要求の項目から見送ったことに理解を求めた。

 萩生田文科相はまず、「せっかく小中学校で1人1台端末の環境を作ったのに、高校ではつながらない、ということではならない。私は高校の授業でも1人1台端末の環境を整えていくべきだと思う」と基本的な考え方を示した。

 続いて「公立高校については、(国から使途を限定しない一般財源として自治体に交付する)地方財政措置で今までも応援をしてきている。それを有効に活用して(学校設置者である)都道府県が公立学校の整備をやっていくことも一つの案。私立高校では、入学時に必要な学校備品として購入を求めている実態もある」と現状認識を説明。

 その上で「経済的に困難な家庭の子供が公立学校に行くのに、その学校で求められた端末を持てないことで、授業に参加できないとか、あるいは家に持って帰ることができないようなことは、望ましいことではない。国として丁寧な支援策を講じていきたい」と述べ、公立高校に通う生徒が経済的な事情で端末を使った学習に参加できない事態が起きないよう、国が支援していく考えを明確にした。

 さらに、9月末にまとめた来年度予算の概算要求で、高校の1人1台端末の整備について検討したところ、「中学生までの1人1台端末では、ある程度必要なスペックが決まっているので、みんなに同じ端末を渡せばいい。しかし、高校生になると、普通科と職業科では、扱うパソコンのスペックがものすごく違う」ことが分かったと経緯を説明。

 「だから、単価の上限を決めて補助しても、例えば、工業系の学校で図面を引くときには、そのレベルのパソコンでは全然、授業に活用できない。それならば、1教室分だけは良い端末を用意してあげた方が、高校生の教育上いいのではないか。現場とも話しながら支援、整備していく意志は明確に持っている」と続け、高校の学校設置者と話し合いながら、国としての支援策を検討していく考えを明らかにした。

 国の支援策を実施する時期については、「できる限り応援をしたいという思いを持って、概算要求の時にも話し合いをしてきたが、学校によって求めるパソコンの容量や中身が全然違うという実態が明らかになってきた。そこを来年度に整理したい」と述べるにとどめた。

 GIGAスクール構想では、校内LAN環境の整備などでは、義務教育段階の小中学校だけでなく、高校も支援対象に含まれているが、1人1台端末の整備については、公立高校の設置者である都道府県や私立高校の判断に委ねられている。このため、自民党の教育再生実行本部は9月24日、義務教育段階だけでなく、高校の1人1台端末の整備でも、国が一定の責任を負うことで地方自治体間の格差を生じさせないよう、萩生田文科相に提言している。

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