[ソウル 8日 ロイター] - 韓国のサムスン電子<005930.KS>は8日、第3・四半期の営業利益が前年同期比58%増加するとの見通しを示した。スマートフォンやテレビ、家電の販売好調や、半導体の出荷増が背景。

営業利益は過去2年で最高となる見通し。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]への米国の規制で、サムスン電子のスマホや半導体販売が押し上げられた。

アナリストは、ファーウェイに対する米規制により中国以外での同社のスマホ需要が抑制され、サムスン電子に有利に働いたとみている。米国が9月半ばからファーウェイへの半導体輸出を禁止する措置に動いたのを受け、サムスン電子はファーウェイから半導体の受注も増えた。

営業利益は12兆3000億ウォン(106億3000万ドル)の見通し。リフィニティブ・スマートエスティメートのアナリスト予想(10兆5000億ウォン)を大幅に上回った。

2018年第3・四半期(17兆5700億ウォン)以降で最高となる。

売上高は6.5%増の66兆ウォンになる見通し。アナリスト予想は64兆1000億ウォンだった。

サムスン電子は今月、決算の詳細を発表する予定。

ノムラの韓国リサーチ部門ヘッド、CW Chung氏は「ファーウェイがサムスンの半導体部門に及ぼした影響が、市場予想を上回ったようだ。スマートフォン、家電部門も大きなサプライズとなった」と述べた。

<モバイル部門が好調>

アナリストによると、サムスン電子のスマホ事業の利益は少なくとも4年ぶりの高水準を記録する見通し。中国の同業から市場シェアを奪ったほか、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)がマーケティング費用の削減につながったことが背景だ。

サムスンの第3・四半期のスマートフォン出荷が約8000万台と、第2・四半期の5420万台から増加したとアナリストは指摘している。上半期は新型コロナウイルスの流行で出荷が低迷していた。

カウンターポイントのアナリスト、トム・カン氏は「米規制によりファーウェイがスマホの販売・サービスを停止する可能性があるとの懸念から多くの消費者は同社の製品を敬遠した」とし、サムスン電子はミドルレンジとローエンドの製品の販売が好調だったと指摘した。

6月に起きた中印の国境付近での衝突を受け、インドで反中感情が高まったことも、同国で中国企業と競合するサムスン電子に有利に働いたとみられる。

新型コロナのパンデミックで、空気清浄機など家電への需要が高まったこともサムスン電子の家電事業を支援した。

<半導体価格は底入れへ>

きょうのサムスン電子株は限定的な値動きとなっているが、アナリストは半導体価格動向や、第4・四半期の見通しが不透明なことが要因と指摘している。

第4・四半期には半導体価格が底入れし、米アップル<AAPL.O>のiPhone新モデルの発売も見込まれているが、サムスンの利益が第3・四半期を上回る可能性にアナリストは懐疑的だ。

調査会社トレンドフォースによると、DRAMの価格はサーバー業界からの需要回復が鈍い中、第4・四半期に約10%下落する見通しだ。

アナリストによると、半導体事業全体は、第3・四半期のメモリー価格低下を背景に低迷したが、ゲーム機向けのグラフィック用半導体やモバイル端末向け半導体の受注で出荷が増加した。

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