2020/10/7

【衝撃】日本発、東レが手掛ける「破壊的イノベーション」

冨岡 久美子
NewsPicks 記者
日本発のイノベーションに業界が震撼した。
2020年1月、素材メーカー大手の東レが、RFIDについて驚きの実験結果を発表した。既存のシリコン型のRFIDではなく、カーボンナノチューブの半導体を使った塗布型という全く違うアプローチで、これまでの単価の「5分の1以下」にできるというものだ。
RFIDタグの単価が10円をようやく下回る中で、これが実用化されると「1円」が射程距離に入ってくる。1円が実現できると、前回の記事でも取り上げたような「流通革命」がいよいよ現実味を帯びてくるのだ。
これがもたらす革新は、価格低減だけではない。
今回の東レRFIDはインクジェット方式であり、バーコードのように商品のパッケージを製造する際に、一緒に塗布できるようになるため、「ソースタギング」と言われるタグを貼る問題が同時に解消される可能性までもが期待されている。
このイノベーションは流通の世界を変えるのか。
NewsPicks編集部は、この「5分の1」RFIDを発表した東レのキーマン、電子情報材料研究所 主任研究員の村瀬清一郎氏を直撃した。
むらせ・せいいちろう/1999年東レに入社。電子情報材料研究所に配属。有機EL用発光材料の研究を経て、2006年からカーボンナノチューブ(CNT)の研究チームに異動。一貫してCNT研究に携わる。塗布型RFIDテーマの立ち上げ時からリーダーとして研究を推進している。
「5分の1」と明言する理由
──東レが従来の5分の1の価格のRFIDを作っていけそう、という根拠はどこにあるのでしょうか。
我々が実際に作った時のコスト分析と、製造コストから出している見通しから試算しています。