[東京 5日 ロイター] - 野村ホールディングス<8604.T>傘下の野村証券は、来年度の新規採用者を原則1年間、コールセンターに配属する方針だ。足を使った対面の営業が同社の強みだったが、オンラインやコールセンターを通じた対応が増えており、新人の育成手法を変える必要があると判断した。

国内大手証券では初の試みとなる。複数の関係者が5日、明らかにした。来年4月入社予定の新卒約350人のうち、多くが対象になるとみられる。

野村はこれまで、入社後1カ月の全体研修を経て、新人をそれぞれの部署に配属してきた。顧客のもとに通う営業スタイルを身につけさせてきたが、ここ数年はインターネットや電話を通じた非対面での顧客対応が増加。以前と比べて顧客と直接会う機会が減っており、顧客の生の声を多く聞けるコールセンターに配属することにした。

関係者の1人は、「新入社員の思い描く証券マンの姿とコールセンターでの業務が合致するかは未知数で、彼らのモチベーションを損なわないようにする対応も必要だ」と指摘する。

野村は顧客ニーズの変化に合わせるため、以前からオンラインサービスやコールセンターの機能拡充を検討してきた。足元では新型コロナウイルスの感染拡大もあって、非対面での顧客対応の重要性がさらに高まっている。

同社の営業部門は、政府が緊急事態宣言を出したさなかの4─6月期にも崩れず、前年同期比86%増の151億円の税前利益を稼いだ。コロナ発生以前から、電話や電子メールなどでの顧客対応を強化してきたことが功を奏したと同社は分析している。

野村はロイターの問い合わせに対し、コメントを控えた。

(梅川崇 取材協力:新田裕貴 編集:久保信博)