[ニューヨーク 2日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、安全通貨であるドルと円が上昇した。米大統領選を約1カ月後に控える中、トランプ米大統領が新型コロナウイルス検査で陽性となったことを受け、投資家が慎重な姿勢を強めた。

午後の取引で市場は落ち着きを取り戻したが、ドルと円は狭いレンジながらプラス圏を維持した。

この日発表された9月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回る一方、失業率は低下。ただ、投資家はトランプ大統領の体調を注視しており、雇用統計の市場への影響は限定的だった。

トランプ大統領は2日未明、新型コロナウイルスに感染したとツイッターへの投稿で明らかにした。メドウズ大統領首席補佐官は同日、トランプ大統領は「軽い症状」を発症しているものの執務不能には陥っておらず、自主隔離して職務を継続していると明らかにした。

これを受け、米国株は下落。米債利回りは序盤の低下後に上げに転じた。

円は対ドル<JPY=EBS>で一時104.95円と1週間ぶりの高値を付けた。その後は安定を取り戻し、終盤は0.2%高の105.365円。

円の1カ月物インプライド・ボラティリティー<JPY1MO=>は7.62と4週間ぶりの高水準。今後の不安定な値動きを示唆した。

ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのシニアマクロストラテジスト、マイク・シューマッハー氏は、米大統領選挙を前に市場がすでに不安定化する中、トランプ氏のコロナ感染によって一段と不透明感が増したと指摘。ただ、感染発覚を受けた世界的な急変動後はやや落ち着きを取り戻したとし、コロナ感染でトランプ氏の選挙活動が制限されることで対抗馬の民主党候補バイデン氏も選挙活動を控えた場合、大統領選を巡るニュースが大幅に抑制され、ボラティリティー低下につながるかもしれないとした。

米民主党のペロシ下院議長が、米航空業界向けの250億ドルの追加雇用支援策を巡る合意が「目前に迫っている」と述べたこともリスク資産に対する圧力緩和につながったという。

もっとも、リスク通貨はおおむね下落。原油安も重しとなり、ロシアルーブル<RUB=>のほか、南アランド<ZAR=>、豪ドル<AUD=D3>が値下がりした。

ドル指数<=USD>は0.1%高の93.823。週間では0.8%安となり、8月下旬以来の大幅な下げとなった。

ユーロ/ドル<EUR=EBS>は0.3%安の1.1718ドル。

ドル/円 NY終値 105.33/105.36

始値 105.17

高値 105.39

安値 105.13

ユーロ/ドル NY終値 1.1713/1.1717

始値 1.1711

高値 1.1733

安値 1.1699

(表はリフィニティブデータに基づいています)