2020/10/4

【解説】アメリカで大ブームの「裏口上場」って何だ?

NewsPicks副編集長
その会社は、マネーゲームが生んだ怪物なのかもしれない。
「トラック版テスラ」として期待されてきた新興EVメーカーのニコラ。1台も自動車を販売していないのにもかかわらず、一時は時価総額が3兆円を超えた。
しかし9月10日に空売り投資集団のヒンデンブルグ・リサーチが、ニコラの詐欺疑惑をレポートで公表し、時価総額はピーク時の約4分の1にまで落ち込んでいる。
なぜ技術力に乏しい新興EVメーカーが、株式市場に上場を果たし、3兆円を超える評価を受けたのか。
実はあまり知られていないが、その背景には、SPAC(特定目的買収会社)を使った“裏口上場”スキームがある。
今米国では、ニコラをはじめ、正規のIPOルートではない形で株式上場を果たす企業が急増しているのだ。
SPAC上場とは一体、何か。シリコンバレーでベンチャー投資に携わるプロフェッショナル2人による解説をお届けする。
海部美知(かいふ・みち)
ENOTECH Consulting CEO

シリコンバレー在住。一橋大学社会学部卒、スタンフォード大学MBA。米国と日本のIT・新技術に関する戦略提案・投資や提携斡旋・調査などを手がけるコンサルタント。著書に「ビッグデータの覇者たち」(講談社現代新書 2013年)「パラダイス鎖国」(アスキー新書 2008年)がある
渡辺千賀(わたなべ・ちか)
Blueshift Global Partners プリンシパル

シリコンバレー在住。東京大学工学部卒、スタンフォード大学MBA。シリコンバレーで日米事業開発のコンサルティングに長年従事。テクノロジー領域での最先端のイノベーションにフォーカスし、投資と共同事業開発を組み合わせた日米企業のアライアンスを推進
*海部氏、渡辺氏への同時インタビューをNewsPicksが解説記事として編集した。