IPOの役割が危うくなっている訳
コメント
選択しているユーザー
注目のコメント
IPO価格の決め方は僕も問題意識が強いです(ロードショーで投資家が札を入れてレンジが決まって行くのですが、その札を入れても買う義務がない。そのため本当の需要価格になっていなかったりする点)
僕がもう一度IPOをするのであれば、短期的な資金ニーズがない限りは、IPO時での資金調達はせず、上場後、一定の流動性がある中(需給によるフェアバリューが見えて来た中)で公募増資する事を目指すと思います。そういう意味では、事業に自信さえあれば(そしてマーケット環境が良ければ) 現在アメリカで増えて来ているダイレクトリスティングは理に叶っている手法だなと感じます。因みに日本で、このダイレクトリスティングが出て来ない理由はどこにあるのでしょうか?
直接上場はIPOよりも「絶対に」効率的とモルガンスタンレーのグライムズ氏
https://jp.techcrunch.com/2019/11/23/2019-11-20-michael-grimes-wall-streets-silicon-valley-whisperer-says-direct-listings-are-absolutely-more-efficient-than-ipos/私もBASEのディールに注目していたところでした。BASEはメドレーに続く上場後間も無くの大型資金調達です。IPO時とセカンダリーの株価がこうも乖離していると、IPO時により低い株価で = より大きな希薄化にて大型の資金調達を行うことは既存株主に説明がつかないと思っています。
優れたCEO/CFOを有するマザーズのDX銘柄は、証券会社のIPO時のプライシングのロジックが変わらないと、とりあえず小さく上場するというのが流行になるのだと思います。「小さく上場する」というものは、巷で言われる需給をタイトにして一時的に株価を吊り上げることを目的とするのではなく、経営陣(CEO/CFOなど)が既存株主に対する善管注意義務/株式価値最大化に係る責任を発揮する一環(= 低い株価で希薄化をもたらす訳にも、既存株主に売却を勧誘する訳にもいかない)でロジカルに導かれる財務的な施策です。
——
ICCというカンファレンスに登壇した際、↑上記の趣旨を自身がCFOとしてのIPO経験を踏まえてケーススタディとして説明したことがあります。
> 「森 はい、お伝えしました。
IPO時の主幹事証券会社は1社だけだったのですが、そちらとなかなかバリュエーションの議論が噛み合わず、結果として先ほど述べた時価総額130億円の世界線です。
これは経営陣の立場からすると株価が低く、そして既存株主のためにならないこともあって、この株価での希薄化は限定すべきとIPOでの調達額はかなり絞りました。
また、VC投資家などの既存株主もほとんど売り出されませんでした。
私たちの作戦は、まずは上場して、それからは発行体がマーケットと証券会社を介さずに自由にコミュニケーションできるようになるので、「そもそもグローバルのエネルギー開発産業というのは、(スライドの)左側にあるようなバリュエーション方法を採用しませんよ。右側のNPVの方ですよ」ということをコミュニケーションしました。
そこを理解していただき、早く買ってくださった機関投資家さんや、そのあたりの価格発見機能を果たしてくださった証券会社のアナリストさんが、右側のバリュエーションについてマーケットに伝道してくださいました。」
https://industry-co-creation.com/management/58113元引受側にいた人間としては耳の痛いご指摘です。
一点、IPOにおける引受契約は買取契約であり、仕入れです。
仲介機能ではありますが、引受業務において、発行体と証券会社の関係にはコンフリクトがあります。
安く仕入れて高く売るのが儲けの源泉なので、他の証券会社との競争の中で、納得できる価格の中で最大限安く買いたいのです。
株価は目に見えるので、わかりやすいですが、オプション取引などの株式デリバティブの世界では、ずいぶんスプレッドを抜かれてるなあという案件は未だに多そうですね。
IPOの後は、調達手段もより多様化できるので、ダイレクトリスティングに私は大賛成です。
株式市場もDtoCの時代ですね。
なお、取引所への上場には、推薦資格のある証券会社の推薦がいるので、日本の取引所でダイレクトリスティングはできないのだと理解してます。
そして、現在の市場関係者のリテラシーだと、まだそれでいいのかなとは思ってます。
一つづつですね。