2020/10/3

【鴻上尚史】日本人に「出会い」がない本当の理由

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新型コロナがあぶり出した、日本の隠れた国民病ともいうべき「同調圧力」。
その“闇”とどのように闘っていくべきなのか。
作家・演出家の鴻上尚史氏にヒントを聞いた。

「社会への信頼」が低い日本

──前回、「日本社会」の実態は、「世間」と「社会」の二重構造だという説明がありました。世間が生み出す「同調圧力」を抑えるには、世間に対して「社会」が力を持つことが重要だと鴻上さんは指摘していますね。
鴻上 そうですね。特に、世間に過剰に依存している人たちに対して、「世間への依存をちょっと緩めて、その分、社会に目を向けてみませんか」と伝えたいと思っています。
例えばコロナ禍でむしゃくしゃしていても、このご時世、なかなか世間に慰めを求めるのは難しいものです。同僚を飲みに誘ったりもしにくいし、自分の親兄弟や配偶者に愚痴を言ったりするのも情けない。
……そんなときに、ぶらっと違う帰り道を歩いて、入ったことのない定食屋さんにでも入って、おいしかったら店のおばちゃんと軽く会話するとか、犬の散歩をしている人に出会って「かわいい犬ですね」と立ち話でもするとか、そういう「社会とのコミュニケーション」を持つことで、いら立ちや焦りを和らげるという方法もあると思うのです。
(John Anthony Rizzo/UpperCut Images/Getty Images Plus)