2020/11/22

【グッドパッチ 社長】スマホ時代に高まるデザインの価値

Goodpatch Inc. CEO & Founder
スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスの普及以降、UI/UXデザインの重要性が高まっている。この領域にいち早く参入し、マーケットを牽引してきたのが、デザイン会社のGoodpatch(グッドパッチ)だ。

グノシーやマネーフォワードといったスタートアップから大手企業まで、数々のクライアントワークで事業戦略やUI/UXデザインを支援。自社プロダクト・サービスを開発・提供するデザインプラットフォーム事業も手掛け、ビジネスシーンにおけるデザインの価値や可能性を拡大し続けている。

「デザインの力を証明する」をミッションに掲げ、グッドパッチをデザイン会社初の上場企業に成長させた土屋尚史社長に、その軌跡と経営哲学を聞いた。(全7回)
土屋 尚史(つちや・なおふみ)/グッドパッチ 社長/CEO
1983年生まれ。ウェブディレクターを経て、米サンフランシスコのデザイン会社でスタートアップ支援に携わった後、2011年9月にグッドパッチを設立。「デザインの力を証明する」というミッションを掲げ、スタートアップから大手まで数々の企業の事業戦略からUI/UXまでを支援し、企業価値の向上に貢献。独ベルリン、ミュンヘンにもオフィスを構え、世界で200人以上のデザイナーを抱える。2020年6月にデザイン会社として初の東証マザーズ上場。

日本はデザイン後進国

「デザイナー」という仕事に対して、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。
感度が高いNewsPicks読者の皆さんは、さまざまにイメージを広げてくださると思いますが、一般的には、デザイナーはモノづくりの末端でビジュアルをつくる人、カタチを整える人だと思われてきました。
そのイメージが根強く浸透していることはもとより、デザイン投資額をみても、日本は明らかにデザイン後進国といえます。
経済産業省のデータによれば、日本企業のデザイン投資額は年間3000億円程度です。
一方、アメリカのデザイン市場はその6倍以上、2兆円といわれています。日本よりも人口やGDPが少ないイギリスでも、4000億円を投資しています。
また、日本のデザイナーの平均年収は、一般的なサラリーマンよりも低い400万円程度です。しかも、ここ何年も変わっていません。
僕は起業前にサンフランシスコでデザイナーの関わる領域の広さを知り、日本では「デザイン」という仕事に対する理解や評価がきわめて低いことを痛感してきました。

デザインの重要性が高まる時代