2020/10/19

【ココナラ 会長】仕事の困難は、苦難ではなく喜びだ

南 章行
株式会社ココナラ 代表取締役会長
スキルシェアサービスの草分けとして圧倒的な存在感を放つ「ココナラ」。デザインやイラスト、キャリア相談など個人が得意とする多種多様なサービスが出品されている。その数は200種類・40万件以上におよび、登録会員数は170万人を超える。

「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」を経営ビジョンに掲げ、ココナラを拡大成長させてきたのが、運営会社ココナラの創業者で現会長の南章行氏だ。

大手銀行から企業買収ファンドに転身。英オックスフォード大学でMBAを取得し、2つのNPOの立ち上げに参画後、起業に至った南氏のキャリア、人生のストーリーを追いながら、個で生きる力を獲得するためのヒントとなる哲学を聞いた。(全7回)

全否定されたビジネスモデル

スキルマーケットのココナラはリリース以来、完全に停滞した時期もなければ、爆発的に成長した時期もない。ずっととどまることなく、着実に伸びてきました。
(出所)「ココナラ」のホームページ
ココナラでは現在、デザイン、イラスト、ウェブサイトや動画制作などから、キャリア相談、ビジネス代行といったものまで、多種多様なサービスが売買されています。
サービスの出品数は200種類・40万件以上、登録会員数は170万人を超えました。これまでの累積取引件数は480万件以上と、名実ともに日本最大級のスキルマーケットに成長しています。
オンラインのスキルマーケットを立ち上げた当時、インターネットでサービスを売ることを思いついた人はごまんといて、実際にチャレンジした人も結構いる。だけど、みんなうまくいかなかったんですよね。
そんな中で、ココナラが先駆けて一歩を踏み出すことができたのは、僕らならではの見立てと、それを実行する勇気があったからです。
当時はまず、サービスを売買するときには、リアルで会わないことを原則としました。それから、サービスの価格はワンコイン、500円均一としたんです。
これにはありとあらゆる人たち、特に投資家からは総スカンをくらいました。
「知らない人と会いもしないで、サービスを売り買いする気にはなれない」
「自分のスキルを500円で安売りする人がいるはずない」
「500円なんて安い値段では、まともなスキルは集まらない」
「仮に、スキルを500円で売る人・買う人がいたとしても、わずかな手数料をとるだけでは儲からない」
もう、散々な言われようでしたね。
でも、僕らには明確に、そうする理由があったんです。
南 章行(みなみ・あきゆき)/ココナラ 会長
1975年生まれ。愛知県名古屋市出身。慶應義塾大学経済学部を卒業後、1999年住友銀行(現三井住友銀行)入行。2004年に企業買収ファンドのパイオニアであるアドバンテッジパートナーズ入社。2009年に英国オックスフォード大学経営大学院(MBA)修了。現地で出会った「音楽を使った若者向け社会起業プログラム」ブラストビートの日本法人(NPO)設立を主導したほか、オックスフォードの同期が設立したNPO法人「二枚目の名刺」の立ち上げにも参画し、個人の自立・自律をサポートする活動に積極的に参加。東日本大震災をきっかけに、2011年6月にアドバンテッジパートナーズを退社し、自ら代表としてウェルセルフ(現ココナラ)を設立。知識・スキル・経験のスキルマーケット「ココナラ」を運営している。一般社団法人シェアリングエコノミー協会理事。