ミタル、2050年までに「CO2ゼロ」 水素や貯蔵活用
【フランクフルト=深尾幸生】鉄鋼世界大手の欧州アルセロール・ミタルは30日、2050年までに全世界で二酸化炭素(CO2)排出を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すと発表した。水素の活用やCO2貯蔵などの技術開発を急ぐ。CO2を多く排出する産業の代表格であるミタルの動きは業界他社にも影響を与えそうだ。
同社は19年に欧州にかぎって30年にCO2を30%減、50年にカーボンニュートラルを目指すと発表していた。具体的には、石炭の代わりに水素を使って鉄を還元する方法を開発するほか、製鉄過程で出たCO2を回収して地中に埋める「カーボンキャプチャーストレージ(CCS)」などの方法を用いる。
22年から順次、商用プロジェクトを始める。水素利用が軌道に乗るのは30年以降とみている。
世界鉄鋼協会によるとミタルは19年の粗鋼生産量首位だった。ミタルのアディティヤ・ミタル社長は声明で「鉄鋼業界のトップ企業として、製鉄プロセスの脱炭素化を先導する責任がある」と述べた。一方で、環境に配慮していない安価な鋼材との競争から企業を保護するための法制度の整備も求めた。
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