[東京 30日 ロイター] - 楽天<4755.T>は30日、第5世代(5G)移動通信システムのスマートフォン向けサービスを、同日から月額2980円(税別)で開始すると発表した。4月にサービスを開始した第4世代(4G)規格の料金と同額とした。会見した楽天の三木谷浩史会長兼社長は、4Gに5Gを加えた上で料金はそのままだとして「タダ5G」とアピールした。

4Gサービスを「Rakuten UN-LIMIT V(ファイブ)」にアップグレードした。5Gの通信は、東京都、大阪府など6都道府県の一部地域でスタートする。3月から4Gサービスで実施してきた300万人まで1年間無料のキャンペーンの対象とする。5G対応のオリジナルスマートフォンも用意した。

3大キャリアは3月から5Gサービスを開始しており、楽天は6月の開始予定が遅れていた。4Gで後発の楽天は電波の届かないエリアでKDDI<9433.T>とのローミング(相互接続)を使用しているが、会見に同席した楽天モバイルの山田善久社長は、5G基地局の整備での出遅れはないとの認識を示し、5Gでは「ローミングの話はない」とした。

楽天が5Gでも低価格を示したことで、菅義偉政権が優先課題として掲げる携帯電話料金の値下げの機運が高まる可能性もある。楽天モバイルの山田社長は「かなり思い切った価格戦略」と強調し、楽天ユーザーが増えれば「日本の平均的な料金が下がる」との見方を示した。

楽天は安価な汎用機器を用いた「仮想化」ネットワークを構築しており、従来型のネットワークに比べてコストが抑えられ、低料金につながりやすい。一方、3大キャリアは、各種の割引がない場合、5Gの大容量・無制限のプランは4Gに500―1000円上乗せした7000円―8000円台で設定している。

もっとも、5Gは普及の途上にあり、足元で3大キャリアも4G料金への上乗せ分を割引している。楽天が低価格を打ち出したことで「楽天のネットワーク整備が進めば、大手は少なくとも割引をやめにくくなるのではないか」と、SBI証券の森行眞司シニアアナリストは指摘している。

*内容を追加しました。

(平田紀之 編集:山川薫)