[ロンドン 29日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は29日、マイナス金利が銀行システムにもたらす課題について、英中銀が現実的に認識していると述べた。一方、英経済を支援する手段としてマイナス金利を排除しているわけではないと繰り返した。

ベイリー総裁はクイーンズ大学ベルファスト向けのオンライン講演で、英銀行システムでは個人預金などの割合が大きく、マイナス金利の効果を低下させる可能性があると指摘。ただ、「一時的なマイナス金利導入を排除するという意味ではない」とも述べた。

「このことは、われわれが十分に現実的で、伝達メカニズムが影響を受けると理解していることを意味する」と語った。

ラムスデン副総裁は28日、政策金利の下限は0.1%との認識を示す一方で、マイナス金利が可能かどうか検討するのが英中銀の義務だと述べた。

また、26日付の英紙サンデー・テレグラフによると、テンレイロ委員は同国経済の落ち込みを克服するのにマイナス金利が有効かどうかを巡る検証で「勇気付けられる証拠」が集まったと明らかにした。

ベイリー氏は、英中銀が初のマイナス金利を導入するかどうか、またその時期について判断に至ったわけではないと改めて強調し、政策変更が迫っているとの観測を退けたいと話した。

また、英経済は先月の想定よりもやや堅調に推移しているが、今後の回復はそれほど力強くないという兆候もあると述べた。

第3・四半期の経済活動は新型コロナウイルス流行前に比べ7─10%縮小したが、力強い形で終了したという見方を示した。