[フランクフルト 28日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は28日、ECBの債券購入策について、グリーンボンド(環境債)の買い入れを増加させる一方、「脱炭素の目的と相いれない」債券の除外を検討できると述べ、気候変動に焦点を当てた「グリーン量的緩和(QE)」の可能性を示唆した。

シュナーベル専務理事は、カーボンニュートラル(炭素中立)な経済の実現に向け、政府、投資家、家計に加え、ECBを含む中央銀行が共に取り組んでいく必要があるとの考えを示した。

同氏は、気候変動リスクを織り込み、欧州連合(EU)の脱炭素化を支援する機能が市場に欠如している問題を修復するため、ECBは社債購入を各社の発行規模に比例させるなどの制限を撤廃する可能性を検討することになるとした。

ECBは毎月、数十億ユーロ規模の社債とコマーシャルペーパー(CP)を買い入れており、グリーン化が進めば、資金使途を環境・社会の持続可能性に貢献する事業に限定するサステナビリティー債の域内市場に大きな影響が及ぶとみられる。

リフィニティブのデータによると、2020年上半期に域内で新規発行されたサステナビリティー債は約500億ユーロに上った。

シュナーベル氏は、民間部門からの資産買い入れで配分基準の見直しを検討することが可能として上で「市場の欠陥が存在する中では、市場に中立的という基準は適切でないかもしれない」とした。

グリーン債については、ECBが現在進めている政策戦略の検証の一環として議論される見通し。

ECBは先週、EUが定めた持続可能な経済活動に関する基準に合致するグリーン債について、来年から担保として受け入れると表明した。資産購入プログラムの対象としても買い取る。[nL3N2GJ2II]

ただ、基準に合致するユーロ建てのグリーン債は現在のところ、イタリアの電力会社エネル<ENEI.MI>が昨年発行した債券しかない。

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