[上海/ワシントン 26日 ロイター] - 米政府が、中国の半導体受託生産(ファウンドリー)大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)<0981.HK>向けの一部輸出に規制を課したことが、米商務省の通知で明らかになった。同社に輸出された機器が軍事利用される「容認できないリスク」があるためという。

ロイターが閲覧した米商務省の25日付の通知によると、SMICに特定の機器を輸出する企業は今後、事前に輸出許可を申請することが求められる。

事情に詳しい複数の関係筋によると、SMICのサプライヤーが今年に入って同社への輸出に当たり「軍事エンドユーザー」ライセンスを申請した際、商務省は許可は不要としていたことから、政府が方針転換したとみられる。

SMICは、規制に関する通知は受け取っていないとした上で、中国軍とのつながりは一切ないと強調。「当社は民間・商業エンドユーザー向け、民生・商業用途の半導体製造およびサービス提供のみ行っている」とし、「中国軍とは全く関係を持っておらず、軍事エンドユーザー向けや軍事用途の製造は行っていない」と表明した。

貿易を専門とするワシントンの弁護士、ニコラス・クライン氏は「(動画投稿アプリの)TikTok(ティックトック)を巡るトランプ政権の措置が広く報じられているが、世界経済、世界のサプライチェーンに著しい影響を及ぼすという観点からは、SMICや華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]に対する規制強化の方が重大な意味を持つ」と指摘。こうした措置が中国の報復を招く可能性が高いとの見方を示した。

SMIC向け輸出規制は、ブラックリストほど厳しい措置ではない。ロイターは今月、国防総省高官の情報として、トランプ政権がSMICを事実上の禁輸リストである「エンティティー・リスト」に加えるかどうか検討していると報じた。

SMIC向け輸出で許可を申請する必要が出てくる米企業には、半導体製造装置のラム・リサーチ<LRCX.O>、KLA<KLAC.O>、アプライド・マテリアルズ<AMAT.O>などが含まれる。

商務省産業安全保障局は26日、SMICについてコメントを控えたが「米国の安全保障や外交政策上の利益に対する潜在的脅威を常に監視・検証している」と述べた。