[シドニー 25日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)航空<AIR.NZ>は25日、総額9億NZドル(5億8995万米ドル)の政府融資枠からの資金引き出しを開始したと発表した。資本構造を見直し、2021年6月までに増資を行うための時間を確保する狙いがある。

同社によると、NZ政府は過半数株を維持すると改めて確約。同社の取締役会が資本構造や資金繰りについて政府と建設的な協議を進めているという。

同国では10月17日に総選挙が予定されており、世論調査によると、現職のアーダーン首相率いる労働党が勝利するとみられている。

NZ航空が先月発表した2020年度(6月30日終了)決算は約20年ぶりの赤字となった。新型コロナウイルスの世界的大流行による急激な収入減を乗り越えるために政府の融資を引き出す必要があると明らかにしていた。

融資は利率が7─9%で、政府は6カ月後に増資による返済を求めるか、債権を株式に転換する権利を付与される。また、ジェフ・マクドワル最高財務責任者(CFO)は先月、NZ航空が保有する航空機の多くが融資の担保に入るため、政府が融資を回収するまで、民間部門からの資金調達が難しくなる見通しだと明らかにしている。