[イスタンブール 24日 ロイター] - トルコ中央銀行は24日の政策決定会合で、主要政策金利の1週間物レポレート<TRINT=ECI>を8.25%から10.25%に引き上げた。ロイターの調査では据え置きが予想されていた。利上げは2年ぶりで、最安値にある通貨リラ押し上げと加速するインフレ統制が狙い。

外貨準備の枯渇などへの懸念から、リラは今年に入って対ドルで23%も下落している。景気刺激策を求めるエルドガン政権からの圧力を受け、今会合では政策を維持するという予想が多かったが、中銀は新型コロナウイルス危機からの急速な景気回復で「インフレが予想以上に上昇した」と指摘。インフレ期待を抑制し、再びディスインフレプロセスに戻すために利上げが必要だったと説明した。

ロイターが事前に調査したエコノミスト17人の間では、政策金利維持がコンセンサスで、3人だけが引き上げを想定、上げ幅の予想レンジは100─150ベーシスポイント(bp)だった。

リラの対ドルレートは、発表後に約7.71リラから7.56リラまで上昇し、約1カ月ぶりの高値を付けた。1153GMT(日本時間午後8時53分)時点では1%高の7.6150リラで推移している。

政策金利は年率11.77%のインフレ率を下回ったままで、リラを預金する場合、実質金利はマイナスのままとなっている。

欧州復興開発銀行(EBRD)のリードエコノミスト、ロジャー・ケリー氏は、利上げ決定を「大胆」だとして歓迎し、2018年の通貨危機から「教訓を得た可能性がある」と指摘。

「新興市場で最も低い実質政策金利にさらされ、リラが着実に弱くなっており、金利コリドー(金利レンジ)を利用して政策引き締めを図る試みに効果がないようにみえる中、中銀は行動を起こす必要があった」と述べた。

ここ2カ月間にリラが下落し、中銀は流動性措置や銀行への融資金利引き上げ指示など裏口的な引き締め措置を導入。7月16日に7.34%を付けた平均資金調達コスト<CBTWACF=>は23日時点で10.65%に上昇した。

また、ギリシャや欧州連合(EU)との東地中海の海底資源問題を巡る対立もリラの重しになっている。今週は制裁リスクが緩和した。