[ワシントン 24日 ロイター] - 米労働省が24日に発表した9月19日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比4000件増の87万件と、市場予想の84万件を超えて増加した。政府の支援金が減少する中、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの経済回復が息切れしているとの見方を裏付ける結果となった。

失業保険申請件数は米経済の状況を示す最もタイムリーな指標とされている。それによると、9月初めに何らかの失業保険を受けていた人は約2600万人に上った。

エコノミストが重視する季節調整前の失業保険申請件数も2万8527人増の82万4542人となった。

新規失業保険申請件数は2007─08年のグレート・リセッション(大不況)時のピークである66万5000件を上回っているが、3月下旬に記録した過去最高の686万7000件からは減少している。5月の事業再開に伴い経済活動は活発化しているものの、サービス業の需要は依然として低迷しており、一時解雇は増加し続けている。

自営業者や単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」などに適用されるパンデミック失業支援(PUA)の申請件数は、19日までの1週間に63万0080人となり、総計で同週に約150万人が失業保険を申請した計算となる。

9月12日までの週の失業保険受給総数は、16万7000人減の1258万人だった。

エコノミストは、大半の州で26週間に制限されている給付金の受給資格を使い果たした人がいるため、継続請求は減少しているとみる。8月には100万人弱が半年間の失業給付期間を終了した。5日までの週には少なくとも160万人の労働者が延長給付を申請。前週から10万4479人増加した。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日、新型コロナウイルス禍からの景気回復の道のりは長く、議会とFRBの双方が回復への取り組みを続ける必要があると強調した。しかし、追加のコロナ経済支援策を巡る議会とホワイトハウスの協議は難航しており、11月大統領選前の合意は難しくなりつつある。

MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は、「高水準の失業率は、この国がまだ危機を脱したわけではないことを示している。財政刺激策を求めるFRB当局者の願いが政府当局に届かなければ、その実現はないだろう」とし、「経済はガス欠状態だ」と懸念した。

センチュリー財団のアンドリュー・ステットナー上級研究員は、「ウイルス対策の進展加速だけが、エンターテインメント分野などの多くの労働者による失業との闘いを和らげるだろう」と述べた。

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