(ブルームバーグ): 32歳のティムール・トゥルロフ氏が率いるフリーダム・ホールディングは、かつては活気のない証券会社で、売買の大部分を二十数人のデイトレーダーに頼っていた。

だが最近では、個人投資家からの株式への需要が拡大したおかげでフリーダムは繁盛し、トゥルロフ氏はビリオネアになった。

トゥルロフ氏の会社は米ネバダ州で法人化されているが、本社はカザフスタンのアルマトイにあり、シリコンバレー企業の次の新規株式公開(IPO)に投資しようとするカザフ人やロシア人を顧客に持つ。手数料収入は2016年から51倍に急増し、新たに何万人もの顧客が同社と契約した。

トゥルロフ氏は8月のズーム経由でのインタビューで、「ボラティリティーが膨大な数の人々を市場に呼び込んだ」とした上で、自身の個人資産は「形式上の数字」にすぎず、会社の収入が増加していることを喜んでいると発言。 「証券業界は上り調子だ」と語った。

モスクワ出身のトゥルロフ氏は、フリーダム株の73%を保有。米国上場の同社の株価は年初来で64%上昇し、同氏の現在の資産額は10億ドル(約1054億円)に上る。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け、米国から中国、インド、韓国に至るまで、株式相場の激しい変動から利益を得ようとするデイトレーダーが殺到したことが背景にある。

6年ほど前の段階では、フリーダムの売買の少なくとも80%を少数のデイトレーダーが占めていた。現在では、同社はロシアの10大証券会社の一つであり、カザフスタンでは最大手だ。顧客数は6月時点で15万2000人と、18年3月の4万6000人から増加。20年3月期の純利益は3倍余りの2200万ドル、収入は64%増の1億2200万ドルだった。

原題:A 32-Year-Old Finance Tycoon Looms in Obscure Stock Market (2)(抜粋)

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