2020/9/25

新富裕層ビジネス「どこにも行かないフライト」ブームに迫る

The New York Times
出発地も目的地も同じ
8月、ブルネイのラジオ局「クリスタルFM」のDJナズリ・ハリフは半年ぶりに空港に足を踏み入れた。ワクワクする経験だったと彼は言う。もちろん、空港(ブルネイ国際空港)内の移動は以前と同じようにはいかなかった。マスクを着用しなければならず、各所にガラスの仕切りやソーシャル・ディスタンス維持の案内が設置されていた。だが「また飛行機に乗れる」という期待感で胸は高鳴る。
どこに行くのか? その答えは「どこでもない」だ。
ブルネイや台湾、日本、オーストラリアでは、大勢の人が「出発地も目的地も同じ」のフライトの予約を始めている。一部の航空会社はこれを「シーニックフライト(景色を楽しむフライト)」と呼んでいるが、その他の航空会社はもっと直接的に「どこにも行かないフライト」と呼んでいる。
「スピーカーから機長のアナウンスが流れてきた瞬間、自分がどれだけ旅行、それも空の旅を恋しく思っていたかに気づかされた」と、ロイヤルブルネイ航空で85分間のフライト体験をしたハリフは言う。
同航空会社ではこのフライトを「ダイン・アンド・フライ(食事つきの空の旅)」と呼んでおり、ブルネイ上空を飛行しながら乗客に地元の料理を提供している。
「どこにも行かないフライト」を楽しむナズリ・ハリフ(Nadzri Harif via The New York Times)
飛行機自体が「旅の目的」