[23日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は23日、秋から冬にかけて新型コロナウイルス感染が拡大し、議会が追加経済対策で合意できなかった場合、消費者や企業による信用へのアクセスが困難となり、住宅差し押さえや企業破綻がさらに増える可能性があるとの見解を示した。ロイターのインタビューで述べた。

企業の事業継続が困難となる中、商業用不動産向けローンの返済延滞が増えれば、とりわけ地銀が圧迫される可能性があると指摘。「年末にかけて、信用収縮のような問題に直面する可能性が非常に高いことが課題だ」と語った。

総裁は自身の見通しについて、米連邦準備理事会(FRB)の予想中央値よりも悲観的だとした。FRBは今年の失業率が7.6%、経済成長率がマイナス3.7%になると予想している。

総裁は、新型コロナ感染が拡大し、一部の地域で新たな規制が導入されたり、感染への懸念から消費者が外出を控えたりすれば、経済活動はより大幅に鈍化する可能性があると指摘。景気減速によってインフレが予想以上に抑制された場合、FRBはより長期にわたって金利をゼロ付近に維持する必要があるとの見解を示した。

また、新型コロナの流行が予想以上に長期化しており、企業や家計を引き続き支援するため、追加の財政政策が必要だとした。コロナ危機前に社債市場で資金を調達した一部の企業は現在、債務返済の問題に直面している恐れがあるとし、「コロナの流行が3カ月なら問題なかったが、かなり長期化しており、より的を絞った支出が明らかに必要だ」と語った。

総裁はこれより前、ボストン・エコノミック・クラブが主催したオンラインイベントの講演で、企業投資と個人消費がコロナ禍前の水準に戻るにはワクチンが幅広く行き渡ることが必要とし、それまで金融、財政政策は「極めて緩和的」に維持される必要があるとの考えを示した。

労働市場については、一部の労働者は異業種で新たな職業訓練を受ける必要があり、こうしたプロセスには時間がかかるため、回復ペースの鈍化を懸念しているとし、「労働市場に潜在的な財政上の障害と課題が存在していることで、回復プロセスは緩慢になる可能性がある」と述べた。

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