米J&J、コロナワクチン後期治験開始 来年初までに結果判明
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注目のコメント
アストラゼネカやモデルナが、先にワクチンの臨床試験の対象者を約3万人で行うことを発表していますが、J&Jはその対象人数を倍近い6万人程度としています。
以前のコメントの再掲になりますが、なぜこんなにも人数が違うのか、と思われた方もいらっしゃるかもしれませんので改めて。
この人数は、多ければ多いほど良い、あるいは多い試験の方がすごいなどといったものではありません。対象人数を無意味に増やすことは、倫理的に許容されません。
この人数の差は試験デザインの差から来るものです。例えば、アストラゼネカの試験では、軽症を含めた総感染者数を減らせるかについて評価を行う予定となっています。一方、J&Jの試験では、軽症者をカウントせず、中等症以上の感染者に差が出るかを評価する計画です。
中等症以上しかカウントしないため、J&Jの試験では、結果の総数が少ないことが見込まれます。期待される結果の総数が少ない場合、差を見るには、より多くの被験者が必要になるのです。
これは試験上の欠点ともなりえますが、先行する企業の試験と異なり、臨床上より重要な結果を評価できるとも言えます。
また、これだけ世界的に関心を集める状況が、多くの被験者のリクルートを可能にしており、だからこそ実現できているという側面もあります。この記事はなぜ1回接種なのかについてやや誤解を生む表現となっています。
より正確に言うと、このJ&Jが開発しているウイルスベクターワクチンの性質上、1回接種が望ましいorしかできないというものです。
ウイルスベクターワクチンというのは、ヒトの細胞に感染するけど病原性の低いウイルスの中に、免疫を付けたいウイルス、この場合は新型コロナに特有のたんぱく質を作る遺伝子を組み込んでいます。
そうするとこの病原性の低いウイルスが「運び屋(ベクター)」としてヒトの細胞に感染して、そこで新型コロナ特有のたんぱく質が作られ、それに対するヒトの免疫が作られます。
ただ、病原性が低いとはいえベクターとして使っているウイルスも異物なので、それに対抗するためヒトの免疫は抗体を作ります。つまり理論上は1回接種でベクターウイルスに対する抗体ができるので、ワクチンとして接種するとワクチンの効きが悪くなるということになります。
もっとも同じウイルスベクターワクチンとして先行するアストラゼネカ・オックスフォード大は2回接種の試験もしていますが、それが吉と出るかどうかは今後の注目点です。