在宅勤務で通勤時間が不要になり、浮いた時間に英語などのスキルアップ研修を受けようと考えている人もいるのではないだろうか。その費用は、確定申告で経費として計上できる可能性がある。元国税調査官で税理士・産業カウンセラーの飯田真弓氏は、「特定支出に該当するかどうか検討し、給与支払者に相談することをおススメする」という——。
PCで会話する若い女性
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会社員の経費は「給与所得控除」で一律に引かれている

「一億総活躍社会」の実現にむけたと取り組みとして、“働き方改革”は、大企業だけではなく中小企業においても重要な経営課題の一つとして認知されてきた。

当初、何をどのように進めればよいのか戸惑っていた企業も、新型コロナウイルスの影響でテレワークが叫ばれるようになり、“働き方改革”をせざるをえない状況になってきているのが現状だ。

自宅でのテレワークだと残業手当はつかないだろう。以前より、収入が減ってしまったと嘆いているサラリーマンもいるかもしれない。

しかし、通勤しなくてよくなった分、出費は抑えられていると感じている人もいるようだ。

全く出勤しなくてよいという場合なら交通費は0円になる。歩かないので靴が傷みにくくなるし、スーツを着ないのでクリーニング代も必要なくなる。

女性の場合だと、お化粧をしなくても済むのでその分費用が浮く。お昼ごはんも出勤している時は同僚とのランチに1000円くらいかかっていたけれど、自宅に居るのならありあわせのもので済ませることもできる。

そもそもサラリーマンは、所得税の計算をする際、必要経費を実額で差し引きするのではない。収入に応じて算出される「給与所得控除」の額をみなし経費として差し引くことで、所得金額を算出する仕組みになっている。ゆえに、実際の出費が減れば減るほど、手元に残るお金は増えるということになる。

さて、国税庁のHPの申告所得税のページには、令和2年6月29日付で個人課税課情報 第6号として、「令和2年分以後の所得税に適用される給与所得者の特定支出の控除の特例の概要等について(情報)」がアップされた。

今回は、この「給与所得者の特定支出の控除の特例」について書いてみたいと思う。