[シドニー 22日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のデベル副総裁は22日、中銀はインフレ率と雇用の目標達成に向け、為替介入やマイナス金利を含むさまざまな金融政策の選択肢を精査していると明らかにした。

中銀はコロナ危機で豪経済が受ける打撃を和らげるため、3月半ばに開いた臨時会合で政策金利を過去最低の0.25%に引き下げた。

また、無制限の国債買い入れプログラムと金融機関向けの低利の資金供給策を打ち出した。中銀はそれ以降、金利を据え置いており、景気を支えるために必要な限り超緩和的なアプローチを継続する方針を示している。

デベル氏は講演で「将来の期間に関し、インフレ率と雇用の見通しが中銀の目標と整合的ではないことを踏まえ、理事会は他の政策の選択肢の検証を継続している」と述べた。

同氏によると、検討対象の選択肢の1つは、長期金利の押し下げを狙った、償還期間が3年を上回る国債の買い入れだ。

中銀は現在、3年債の利回り目標を0.25%に設定している。

デベル氏はまた、為替介入も選択肢だとしたが、豪ドルが「ファンダメンタルズ(基礎的条件)に沿っている」ことを踏まえると、効果を発揮するかどうかは不明だとした。

豪ドルは年初から約3%上昇。豪州最大の輸出品である鉄鉱石の価格高や新型コロナウイルス流行への対応が比較的に効果的だったことが背景。米ドルの弱い基調もリスク選好時に買われやすい豪ドルの押し上げ要因となってきた。

デベル氏は「それでもなお、豪経済にとって低めの為替レートは確実にメリットがある。このため、われわれは引き続き注意深く為替市場の動向を見守っている」と述べた。

3番目の選択肢は政策金利をマイナスにはせずに引き下げることで、最後の選択肢はマイナス金利だとした。ただ、マイナス金利の効果に関しては実証的な根拠がそろっていないとした。

中銀はこれまで何度かにわたり、マイナス金利導入は「極めて可能性が低い」としてきた。デベル氏はこの見解を繰り返すことはしなかった。