[ニューヨーク 21日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、新型コロナウイルス感染拡大を巡る懸念で世界的な株安となる中、ドル指数が約6週間ぶりの高水準を付けた一方、高リスク通貨は下落した。

欧州で新型ウイルス感染が再度拡大し、英国などでロックダウン(都市封鎖)の懸念が高まる中、米株価はこの日も下落。外国為替市場ではユーロ<EUR=EBS>のほか、豪ドル<AUD=D3>やノルウェークローネ<NOK=D3>などが対ドルで下落した。

米国では最高裁判所のリベラル派女性判事、ルース・ギンズバーグ氏の死去を受け、追加新型ウイルス経済対策の行方を巡る不透明性が高まっている。トランプ大統領はこの日、ギンズバーグ最高裁判事の後任を早ければ25日に発表すると表明。選挙前に議会での指名承認採決に持ち込みたい考えだ。

メルク・インベストメンツのプレジデント、アクセル・メルク氏は「典型的な『リスクオフ』環境で、安全資産への資金の逃避が起きている」と指摘。「大統領選を控えた先行き不透明性が意識されている。最高裁判事の指名を控え、どの方向にも動き得る」と述べた。

ドルはアジア取引時間帯では低調だったが、欧米で株式相場が大きく下落したことを受け、欧米の取引時間帯で上昇。主要6通貨に対するドル指数<=USD>は一時8月中旬以来の高値を付けた。終盤の取引では0.65%高の93.559。

エクスチェンジ・バンク・オブ・カナダ(トロント)の外為戦略部門責任者、エリック・ブレガー氏は、「英国で新型ウイルス感染拡大を受け、再度ロックダウン措置が導入されるとの懸念が高まっていることが、ドルに対する安全買いを触発した主要な要因だった」と指摘。「3月の状況を彷彿とさせ、恐怖心があおられる」と述べた。

ドル/円<JPY=>は104.69円と、0.1%上昇。ただ日本の金融市場は祝日のために休場となっていることで、商いは薄かった。

ユーロ/ドル<EUR=EBS>は0.58%安の1.1768ドル。英ポンド<GBP=D3>も対ドルで下落し、0.82%安の1.2809ドル。

今週は、連邦準備理事会(FRB)当局者の発言が注目されている。パウエルFRB議長が22日から24日にかけて議会証言を行うほか、ブレイナード理事、シカゴ地区連銀のエバンズ総裁、アトランタ地区連銀のボスティック総裁、セントルイス地区連銀のブラード総裁、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁らが講演などを予定。ブレガー氏は「パウエル議長、および他のFRB当局者が平均2%のインフレ達成に向けた計画の一段の詳細を示さなかった場合、ドルは今週はさらに上昇する可能性がある」と述べた。

ドル/円 NY終値 104.64/104.66

始値 104.03

高値 104.83

安値 104.02

ユーロ/ドル NY終値 1.1769/1.1773

始値 1.1789

高値 1.1798

安値 1.1732