2020/9/25

【細谷雄一】「菅外交」に何が求められるのか?

細谷 雄一
慶應義塾大学 教授
安倍晋三前首相の突然の辞意表明を受け、「リリーフ登板」として誕生した菅義偉内閣。
あらゆるメディアが今、菅氏の総理大臣としての手腕を測ろうとしている。そこにはふるさと納税や観光立国など、これまで菅氏が主導してきた実績が挙げられるが、一国の総理大臣となったからには、外交もまた大きな仕事となる。
外交は安倍政治の中で、比較的評価の高かったジャンルといえる。これまで「外交の人」というイメージのない菅氏だが、首相として今後どのような手腕を見せるのか。
慶應義塾大学教授で国際政治学・外交史が専門の、細谷雄一氏が展望する。
細谷 雄一(ほそや・ゆういち)/慶應義塾大学 法学部教授
1971年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は国際政治学、外交史。北海道大学法学部専任講師、敬愛大学国際学部専任講師を経て現職。著書に『戦後国際秩序とイギリス外交』『倫理的な戦争』『戦後史の解放(Ⅰ・Ⅱ)』など。

日本の外交、1998年の転機

9月16日、正式に菅義偉政権が発足しました。
7年8カ月という長期政権になった安倍晋三政権の後継として、諸外国も菅氏の外交姿勢と日本外交の方向性に関心を示しています。アメリカのトランプ大統領も、ツイッターで「おめでとう。菅義偉首相」と祝意を表しました。
一方、ワシントン・ポストは「外交手腕は未知数」と報じるなど、菅外交のスタンスを測りかねているところがあります。
写真:時事