2020/9/22

【崖っぷち】超大作でも苦戦。「映画館」を追い込む3つの苦境

『テネット』不発で暗雲

クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』は、アメリカにおける映画館の再開を記念する作品になるはずだった。だが実際には、業界の苦境をまざまざと見せつける結果となった。
新型コロナウイルスのパンデミックで5カ月にわたって営業を停止していた全米の大手映画館チェーンは、レイバー・デイ(9月第1月曜日の祝日)の連休までに約68%が再開。ワーナー・ブラザースが「びっくり仰天のスケールを誇る最大級の看板作品」として大々的な宣伝を繰り広げる製作費2億ドルの超大作を上映することができた。
だが、安定のヒットメーカー、クリストファー・ノーラン監督作品でありながら、『TENET テネット』のスタートは芳しくなかった。北米での興行収入は公開週の週末で940万ドル、2週間で2950万ドルだ。
ちなみに、シリーズものではないノーランの最近の作品『インセプション』、『インターステラー』、『ダンケルク』は、北米での公開初週末で5000万ドル前後を稼いでいる。
映画産業の今後を占う作品として初動が期待されていた『TENET テネット』(Collection Christophel/アフロ)