(ブルームバーグ): 西村康稔経済再生担当相は20日午前、国際金融都市の確立に向け、福岡県など自治体の取り組みを聞きながら、「しっかりと環境整備の議論を進めていきたい」と明言した。同県の小川洋知事との会談後、記者団に語った。

政府は中国からの統制が強まっている香港に代わる国際金融都市の実現に向け、7月に決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」で、「世界・アジアの国際金融ハブとしての国際金融都市の確立を目指す」と記述している。

西村氏は同方針を踏まえ、税制面や英語でのさまざまな手続きの対応、家族などを帯同できる在留資格といった課題を挙げ、関係省庁と調整を進めていく考えを示した。

国際金融都市には東京都がこれまでも意欲を示しているが、菅義偉首相は官房長官時代の8月27日に行ったブルームバーグのインタビューで東京には「こだわらない」と発言していた。

福岡市はアジアのリーダー都市を目指す取り組みを進めており、西日本新聞によると高島宗一郎市長が1日の市政報告会で国際金融拠点の誘致に意欲を示している。西村氏は20日、福岡市は「まさにアジアとの距離感の近さ、これが大きな魅力だ」と述べた。

日本進出へのハードル

外資系金融機関などにとって税制面の負担や日本語の手続きが日本進出のハードルになっているとされる。

20日付の読売新聞朝刊によると、政府・与党は金融機関や海外の金融人材の受け入れ拡大に向け、法人税や相続税の負担軽減のほか、行政手続きの英語対応も強化する方針。また、金融庁は2021年度予算の概算要求に英語や金融関連の法律に強い弁護士を採用するための経費などを盛り込む方向とも報じた。

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