[ワシントン 18日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が雇用最大化と物価安定の実現に向け8月27日に打ち出した金融政策の新戦略について、クリーブランド地区連銀の調査で一般国民にほとんど浸透していないことが分かった。

FRBは新戦略の下、低インフレ期間を相殺するため2%を超えるインフレ期間を容認し、インフレ率が長期的に平均2%となるよう目指す。

FRBは、新戦略が人々に深く理解され、将来的にインフレ率が押し上げられると期待しているが、クリーブランド地区連銀が新戦略発表の前日、当日、翌日に無作為抽出方式で実施した調査で示された答えは「ノー」。

調査チームは「パウエルFRB議長の講演は大部分の一般国民に届かなかったか、印象を残さなかった」とし、このニュースに触れた人でもほとんど影響を受けず、FRBとインフレに関する見方は「事実上変わらなかった」と指摘。このことは、理論で示される経済的な恩恵の多くは新戦略の下で受けられないことを示唆しているとした。

調査では、FRBが担う2つの責務についても一般国民の間で誤解されていることが判明。FRBは物価安定と最大雇用という法的責務を担っていると、年間数100回行われる講演などで繰り返し表明しているにもかかわらず、調査では大部分の人が、FRBはドル高を追求し、連邦政府のために借り入れコストを低水準に抑えていると回答した。

調査チームは「FRBは国民に耳を傾ける姿勢を示しているが、一般国民は何も聞いていない」と指摘。調査チームにはテキサス大学オースティン校のオリビエ・コイビオン教授のほか、カリフォルニア大学バークレー校のユーリー・ゴロドニチェンコ教授らが参加した。