[18日 ロイター] - 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は18日、連邦準備理事会(FRB)はコアインフレ率が約1年にわたり2%を維持するまで利上げは実施しないと確約し、米経済の完全な回復に向け一段と強いフォワードガイダンスを表明するべきだったとの考えを示した。

FRBは今週開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%に据え置くことを決定すると同時に、インフレ率が2%の目標を超える軌道にあると判断するまで金利をゼロ付近に維持する方針を表明。カシュカリ総裁は、コアインフレ率が持続的に2%に達するまで、現行の目標レンジ維持を予想していると示すのが望ましいと主張し、決定に反対した。

カシュカリ総裁は反対した理由を説明する文書で、FRBの方針では完全雇用を達成する前に利上げを実施せざるを得なくなる状況に追い込まれる恐れがあると指摘。「FRBが担う2つの責務の達成が確証できるまで利上げは実施しないとする一段と強い確約を望んでいた」とした。

その上で、FRBは前回の景気後退(リセッション)で労働市場の状況を読み違え、結果として尚早な利上げを実施したことで景気回復が頓挫したとし、労働市場の状況を利上げと結び付けるべきではないと指摘。「コアインフレ率が2%台に乗せてから約1年間は利上げを実施しないことは、インフレ率の平均2%を実現するために若干の目標超えを容認する戦略と整合性が取れる」とした。

また、新たなガイダンスが以前から導入されていた場合、2015年12月のゼロ金利政策解除は2017年1月にずれ込んでいたと予想。それでも解除は尚早だったとの見方を示した。

15─16日のFOMCではカシュカリ総裁のほか、ダラス地区連銀のカプラン総裁も決定に反対。ただカプラン総裁は、新たな確約の下では利上げが必要になった際に柔軟性に欠けるとし、反対の理由はカシュカリ総裁と全く異なるものだった。

カシュカリ総裁は、米機関投資家協議会主催の会合で、政府の新型コロナウイルス経済対策について、「コロナ禍の影響を受けた人々に対する議会の大胆な支援に拍手を送るが、家計だけが助けられたわけではない。銀行もまた救済を受けた」と述べた。