[ワシントン/国連 17日 ロイター] - トランプ米大統領が、国連の対イラン武器禁輸措置の違反者への制裁を可能にする大統領令を計画していると、関係筋4人が17日明らかにした。

関係筋によると、大統領令は数日中に発令される見通しで、イランと取引する第3国の企業などに米市場へのアクセスを禁止する二次的制裁の発動が可能となる。米経済の規模が大きく、大半の外国企業はイランのような小規模な国と取引するために米市場から排除されるリスクを冒すことは望んでいないため、二次的制裁は強い効力を発揮する。

2015年の核合意に基づき、イランに対する国連の武器禁輸は10月18日に失効する。18年5月に核合意から離脱している米国は先月、国連安全保障理事会宛ての書簡で、「スナップバック」と呼ばれる国連制裁の全面復活に向けた手続き開始を通知。武器禁輸を含む制裁復活は米国時間19日午後8時(日本時間20日午前9時)に発効するとしているが、核合意の当事国や安保理の大半の理事国が反発している。

イランの国連代表部の報道官は「米国の主張を妥当として受け入れている安保理メンバーはいないのが明らかだ」と強調し、核合意は存続していると付け加えた。

関係筋の1人は新たな大統領令について、スナップバックについて安保理の幅広い支持を得られなかったが、米政府が主張を曲げることはないと示す狙いがあると述べた。

欧州外交筋によると、大統領令が発令されれば、国連の対イラン武器禁輸の維持を目指す米政府のスタンスはさらに強化される見通し。

制裁を専門とする弁護士のダグ・ジェイコブソン氏は、イランの団体・個人の多くは既に二次的制裁の対象となっているため、新たな大統領令は象徴的な意味合いが強いかもしれないと指摘。

「(イラン核合意の)他の当事国が武器禁輸のスナップバックに同意しなかったことに米国は不満だというメッセージを送る意図がある」と分析した。

ポンペオ米国務長官は16日、「制裁が確実に実施されるように必要なあらゆることを行う」と表明。多くの専門家が、核合意離脱後に米国が独自に発動した対イラン制裁は効果を発揮しないとの見方を示していたことに触れ、「世界の予想に反し、われわれは大いに成果を上げてきた」とし、米国の制裁によってイランの資金源が劇的に減ったと語った。

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