2020/9/20

【武部貴則】日常生活の中で、健康を「誘発」するアイデア

東京医科歯科大学・横浜市立大学・シンシナティ小児病院
人生100年といわれる超高齢化社会においては、「医療の役割を開放し、その活動領域を広げていくことが、必然であり必須」だと語る、医師の武部貴則氏

そのためのアプローチとして、武部氏が提唱するのが「ストリート・メディカル」という、まったく新しい医療の考え方だ。

ストリート・メディカルの主役は「当事者」である私たち一人ひとり。最終話では、今、私たちが「よりよい人生」を実現するためにできる工夫とは何なのか、具体的なアドバイスを聞いた。

「ジャンルを越境する医療」の原点

──再生医療の専門家として実績を上げてこられた武部先生が、ストリート・メディカルという新たな領域での活動に乗り出したきっかけは何だったのでしょうか?
武部 私が関わっているすべての活動について言えることなのですが、「自分の周りで起きていることを解決したい」という思いが出発点になっています。
もともと肝臓の研究を始めたのも、後輩のお父さんが肝臓移植の問題が原因で亡くなったことがきっかけです。この問題を、自分の力でなんとか解決してみせようと意気込んでいたものの、実際に研究を始めると臓器移植の限界を知ってしまい、再生医療の研究者になったという経緯があります。
広告医学やストリート・メディカルを着想したのも、小学校3年生のときに父が脳出血で倒れたという経験がベースになっています。
(imaginima/Getty Images)