[ブリュッセル 16日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は16日、欧州議会で演説し、今後10年間の温室効果ガス排出量削減目標の引き上げを提案し、環境対策に必要な資金をグリーンボンド発行で調達する方針を示した。

山火事や干ばつ、氷河の融解など温暖化の影響とみられる現象が世界各地で起こっている。フォンデアライエン委員長は気候変動に取り込む野心的行動が数百万人規模の新たな雇用を生み、新型コロナウイルスのパンデミックからの欧州経済回復を支援する可能性があると説明。

EUは現在2030年の温室効果ガス排出量を1990年比40%削減する目標を掲げているが、これを少なくとも55%削減に引き上げるべきだと述べた。

目標を引き上げれば、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする計画を達成する軌道に乗るとし、欧州委の分析で55%削減は経済的に可能であることが確認されたと説明した。

目標引き上げにあたっては、輸送、重工業、エネルギーの分野に巨額の投資が必要になる。またこの3業種はEUが計画する排出権取引市場改革でコスト負担が重くなる見通しだ。

フォンデアライエン委員長は、7500億ユーロのコロナ復興基金の30%をグリーンボンド発行で調達すべきだと述べた。