2020/9/14

【解説】安保談話はなぜ、「辞める直前」に出されたのか

前嶋 和弘
上智大学 総合グローバル学部教授(現代アメリカ政治外交)
安倍首相は9月11日、今後の安全保障政策に関する談話を発表した。内容は全部で6項目。
①在任期間7年8カ月における、安保分野の進展
②厳しさを増す安全保障環境、特に北朝鮮問題
③イージス・アショア配備停止と、迎撃能力の代替案
④専守防衛や日米の基本的な役割分担に変化がないこと
⑤今年末までにあるべき安保方策を示すこと
⑥防衛力によって日本の平和と安全を維持すること
に関して、それぞれ簡潔な言葉で言及されている。
しかし退任表明後の談話発表は、一部メディアなどからは「異例」と評される。なぜ、このタイミングでの発表に踏み切ったのか。また、談話の中身からはどのようなメッセージが浮かび上がってくるのか。
そこで、政治学者で上智大学教授の前嶋和弘氏が、今回の談話に込められた意図を「3つのポイント」から読み解いていく。
9月11日、安保談話発表を受け記者会見する安倍首相(写真:時事)

タイミングも形式も「かなり意図的」