[シアトル/ワシントン 8日 ロイター] - 米航空機大手ボーイング<BA.N>は8日、中型旅客機「787」で新たに製造上の問題が見つかったことを明らかにし、同機の納入に遅れが生じるとの見通しを示した。787の製造上の問題が見つかるのは、ここ1年ほどで3件目となる。ボーイングによると、787の水平尾翼の製造工程で一部の部品が仕様より強い力で固定されていたことが判明した。この問題が見つかったのはユタ州ソルトレークシティーの工場で、同社は2月に問題を特定、8日に公表した。米連邦航空局(FAA)は同日、一部のボーイング787に影響する製造上の問題を調査していると明らかにした。状況説明を受けた関係筋によると、水平尾翼の問題により、最大およそ900機の機体を検査する必要が生じる可能性があるという。ボーイングは、未納入の機体については問題を修正しており、直ちに飛行の安全上の問題にはならないとしている。すでに就航されている機体については、対応が必要かどうか分析が行われていると説明した。ボーイングの株価は8日の取引で5.8%下落した。787を巡っては、FAAが7日、一部の機体で見つかった別の2つの製造上の問題についても調査を進めていると明らかにしたが、新たな検査が必要かどうかはまだ判断できないとした。ボーイングは8月、複数の航空会社が就航させている8機の787について、胴体部分の2つの製造上の問題を理由に運航を停止したと明らかにしていた。ボーイングは7日、一部の機体で大きさが不適切なシムや仕様を満たさないスキンが用いられていると明らかにした。同社はシムの問題について2019年8月に特定していた。同社は「これらの問題は個別に見た場合、仕様を満たしていないものの、積載基準は満たしている。ただ、同じ箇所でこれらの問題が重なった場合、積載基準を満たさない状況が生じる」と説明した。一方、ボーイングが8日に発表した8月の受注・引き渡しデータによると、2回の墜落事故を受けて運航停止中の737MAX型機に今年に入って初めての受注があった。一方、同機の注文取り消しは17件で、年初からの取り消し総数は445件に拡大した。737MAX型機を発注したのはポーランドのエンターエア<ENTP.WA>で、737─8型機を2機発注。契約には2機を追加するオプションも付いている。この他、複数の不特定顧客が737MAX型機を3機発注した。8月の引き渡し数は13機で、前年同月の18機から減少したものの、前月の4機からは増加した。年初からの引き渡し数は87機で、前年同期比で約7割落ち込んだ。

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