自民党・菅義偉官房長官と中国共産党・習近平総書記「5つの類似点」

国会議員たちは菅氏の何を支持するのか

中国共産党化する自民党

いよいよ今日8日、自民党総裁選の告示日を迎えた。先週のこのコラムでは「安倍晋三論」を述べたが、今週は引き続き、中国ウォッチャーから見た「菅義偉論」を述べたい。

それにしても、一体いつから自民党は、中国共産党のようになってしまったのだろう? 普段、中国共産党の研究をしている私から自民党総裁選を見ると、いまの自民党の状況が、「ミニ中国共産党」と化しつつあるように思えてならないのだ。

〔PHOTO〕Gettyimages

日本に君臨する自民党は、昨年末時点での党員数が108万6298人で、「100万人政党」を誇っている。

ところが、隣国に君臨する中国共産党から見たら、「井の中の蛙」だ。昨年末時点での中国共産党員数は、9191万4000人。ざっと自民党の84倍もの規模を有する世界最大の政党だ。自民党が地球なら、中国共産党は太陽のようなものだ(太陽の半径は地球の約109倍)。

その中国共産党の党規約には、「中国共産党員は、中国の工員階級の共産主義を覚悟する先鋒戦士である」(第2条)とあり、「党員は必ず、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想……習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想の真摯な学習を履行しなければならない」(第3条)としている。

こうした全体主義的なシステムのため、中国共産党の集会のテレビ映像を見ていると、幹部党員たちは習近平総書記の発言にひたすらメモを取り、時折、機械仕掛けの人形のように拍手する。

一方、日本の自民党の党則は、前文で、「わが党は、基本的人権と民主主義を守り、世界の平和と人類の繁栄に積極的に貢献しつつ、国民とともに未来に向けてつねに改革を進める自由主義の政党である」と謳っている。つまり、党名にもなっているように、「自由」と「民主」が二大看板だ。

だが、その実態はどうだろう。8月28日に、安倍晋三首相(総裁)が辞任表明の記者会見を開くや、その翌日から、「○○派が菅氏支持を固める」「△△派も菅氏支持で一致」というニュースが次々に報道され始めた。

当の菅義偉官房長官は、その時点で、立候補の表明すらしていない。つまり、どんな日本を作っていくのかという政策や方針を一つも発表していない。

その頃、菅氏のホームページで確認してみたが、作り笑いの顔写真の横に掲げられた「政策」は、「平成24年12月26日」(第2次安倍晋三政権発足の日)から変更されていなかった(Abemaの公式ツイッターでは折々活動を発信しているが)。

それなのに、全国各選挙区の「国民代表」である国会議員たちは、菅氏の何を支持するというのだろう?

 

「草木も靡(なび)く丑三(うしみ)つ時」という言葉があるが、394人いる自民党国会議員たちが、一斉に菅氏に靡いていくさまは、鬱蒼(うっそう)としていて不気味ですらあった。まさに、中国共産党中央委員会のメンバー約400人が、一斉に習近平総書記に靡いていくさまを髣髴(ほうふつ)させるのである。

となれば、菅氏は、「ミニ習近平」なのか? そうあってほしくはないが、「似た雰囲気」を持っているのは事実だ。

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