2020/9/11

【茨城県庁】電子決裁化100%を3ヶ月で実現した知事の秘策

川北 真梨乃
NewsPicks 記者
日本において、ハンコの最後の砦となるのは、おそらく「役所」だろう。窓口でもハンコ、内部でもハンコ。ハンコハンコのオンパレードである。
茨城県庁もその例外ではなかった。
申請書類を庁内で確認し、承認を得るまで、複雑な案件では70人以上、標準的なものでも10人のハンコが必要だった。
大井川和彦・茨城県知事は、毎日のように机の上に山積みになった決裁書類にシヤチハタを押し続け、その数は多いときには1日40個にもなったという。
そんな茨城県庁からハンコが消えた。
知事就任の翌年(2018年)、大井川氏は「庁内の決裁を100パーセント、電子化する。例外は一切認めない」という大号令を下す。
その年の4月に13.3%だった決裁書類の電子化率は、わずか3ヶ月で99.1%にまで跳ね上がった。ほぼ目標達成である。
いかにして、かくも短期間で、しかも役所という融通のきかない組織において、ハンコレスを実現できたのか。
一大改革を仕掛けた大井川知事に真意を聞いた。

茨城県庁とマイクロソフトの落差

──庁内に向けて「電子決裁100パーセント」を指示したきっかけは?
大井川 私はそもそも「役所」(経済産業省)の出身で、その後マイクロソフトやシスコシステムズといったアメリカの「IT企業」に勤め、ドワンゴという「ネット系ベンチャー」にも在籍していた経験があります。
IT企業、ベンチャーと、役所の仕事って、やっぱり大きく違うんですよ。
役所の仕事というのは、どうしてもオフィスに来て机に縛られるというパターンが多く、会議を1つ設定するだけでもものすごく無駄が多い。
自宅で勤務するとか外出先から会議に参加するなんて、IT企業やベンチャーだと当たり前に行われているんだけれど、役所の環境では全くできない。
それを何とかすることによって、県の行政事務の効率化が図れるのではないかと思ったことが、そもそもの出発点になっています。
非効率の最たるものが「決裁文書」です。