2020/9/7

【加藤出】アベノミクス後は「DX」が鍵になる

NewsPicks編集部
NewsPicks編集部
安倍政権の象徴的な政策となった経済政策「アベノミクス」。

「異次元」の金融緩和、機動的な財政政策、そして経済の構造改革に切り込む「3本の矢」で、デフレから脱却し、日本経済を再生させることを目指した。

一連の政策は、行きすぎた円高を是正し、株高を演出するなど華々しい効果をあげた。だが、経済の構造改革や本格的な景気浮揚などでは、道半ばの印象もある。

金融政策、財政政策、経済改革にまたがって展開されたアベノミクスを、専門家はどう評価するのか。

第1回目は、東短リサーチの加藤出・チーフエコノミストがアベノミクスの7年8カ月を振り返るとともに、残された課題を浮き彫りにする。

金融緩和が生んだ「甘えの構図」

アベノミクスは、第1の矢で金融緩和をやりながら、第2の矢の財政政策で需要を作りつつ、最終的には第の矢で経済構造を改革していくというものでした。
第1の矢の大胆な金融政策は、前例のない空前の国債大規模購入などによる金融緩和で、強力な「痛み止め効果」を伴うものです。
金融緩和による超低金利は、消費拡大や新たな投資を促す効果を狙ったものでした。
同時に、超低金利は、利払いの負担を軽減させることで低収益企業を存続させることになり、また事実上の円安誘導によって従来型の輸出企業を支える効果がありました。