おやつ生産者のデジタル化支援もーースナックミーが2.6億円調達

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ニュースサマリ:おやつの定期購入サービス「snaq.me」を展開するスナックミーは9月3日、第三者割当増資の実施を公表している。引受先になったのはW ventures、デライト・ベンチャーズ、 SMBCベンチャーキャピタル、Future Food Fundの4社。これに日本政策金融公庫などからの融資と合わせて調達した資金は2億6000万円。調達した資金で流通オペレーションの強化、およびブランド拡大に投資し、生産者との取引規模を現在の倍となる200社に引き上げる。

また、同社はこれに合わせ、沖縄発のオリオンビールと協力し、期間限定おやつセット「オツマミー for オリオンビール」のオンライン販売も伝えている。おうち飲みユーザーをターゲットにした商品で、オリオンビールの各商品との相性でセレクトされた沖縄県産のおつまみ7種が入っている。発送予定は9日からでオリジナルコースターも付いて税込み1,980円で販売される。なお、ビールは別売。

話題のポイント:おやつサブスクという特化型の生産販売を手がけるスナックミーが調達です。外出自粛でオンライン飲み会なるものが一時期流行りましたが、企業の福利厚生も兼ねて話題になったのが「オツマミー」シリーズです。今年4月からビールやワイン、IPAなどとの相性がよいおやつをセットにしていましたが、今回はメーカーとのコラボレーションで新しい展開を模索しているのがよくわかります。

個人の嗜好に合わせたおやつを自動的に選んでくれるのが特徴のsnaq.meですが、入り口としてはこういったキャンペーン的なアプローチの方が確かに間口は広そうです。現在、2016年3月のサービス開始から100社以上の生産者と取引を重ね、昨年1年では事業規模は倍成長しているとのことです。

さて、スナックミーの動向で気になるのがやはり感染症拡大に伴う、おやつメーカー各社の今後のデジタル化戦略です。店舗などを持っている老舗のおやつ生産者などは、この突然の事態にEC化を余儀なくされているケースもあるかもしれません。

確かに汎用的なコマースプラットフォーム、例えばBASEのような簡易にECが始められる環境はありつつも、例えば生菓子はどうするとか、配送って間違えると問題になるよねなど、おやつならではの課題があるはずです。スナックミーは以前、本誌にも寄稿してくれたように、こういったおやつ生産者のデジタル化も支援しています。

スナックミー代表取締役の服部慎太郎さんにこの点をお聞きしたところ、次のように状況を教えてくれました。

「まず、私たちのお取引先などで感染症拡大の影響が大きかった生産者様は、地方のお土産を百貨店やお土産店などに卸している、もしくは自社の店舗で販売している、というオフラインを主要チャネルとしている会社様で、売上が一時的に8割程度落ち込むという会社様もありました。

課題としては、チャネルの問題が大きく、既存のオフラインチャネル以外に広げようと考えても、卸先が基本オフラインであるため、新規開拓を考えるとECになります。

確かに汎用的なECプラットフォームを使って販売し、Twitterなどでバズって売上を上げる会社さんも中にはありますがレアケースで、ほとんどはECを作ることができても、デジタルマーケのノウハウもないため集客も難しいというのが現状です」。

体力に余裕のある企業はこれらを全て外部に委託することもできるが、それは一部の大手に限られるとのことです。また、実はお菓子というカテゴリは、かさばる割に単価が低く、ECには向かない、という根本的な課題を抱えているのが一番の問題と指摘されていました。

「スナックミーではサービス開始当初から、ポスト投函で常温配送を実施しており、ECでも成立するおやつECの形を模索してきました。また、取引先と短いリードタイムで新商品を開発し、そのまま生産、発送、という一貫したバリューチェーンをもっているため、クイックに商品開発から発送まで行い、短期間で売上を上げることができます。

弊社としては、以前からデジタルを中心に集客し、生産者様と短いリードタイムで商品開発するということを前提としてきましたが、その仕組み自体が、現在コロナなどの影響でオフライン売上を落としてしまっている生産者様の支援につながることを再認識しています」。

社会全体がオンライン化を急務とする中、今後予想されるのは特化型のノウハウです。おやつは当然ながらファッションや工業製品とは異なる手法が必要で、スナックミーのような蓄積があるスタートアップが今後、課題解決を目指すメーカーと協業することは増えていくのではないでしょうか。

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