[ベルリン 4日 ロイター] - ドイツのバイオ製薬会社キュアバック<CVAC.O>は4日、新型コロナウイルスワクチン開発の加速と大量生産に向けて独政府から3億ドル近い補助金を確保したと明らかにした。

テュービンゲンを拠点とする新興企業の同社は先月、米ナスダック市場へ上場を果たし、時価総額は100億ドルに上る。メッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる遺伝情報を運ぶ分子を基にしたワクチンを開発する。

キュアバックのハース最高経営責任者(CEO)は補助金について、「安全で効果的なワクチンをできるだけ早く大規模生産することを大いに後押しする」と述べた。

キュアバックによると、カルリチェク教育研究相が7月に発表した政府支援の枠組みの下、2億5200万ユーロ(2億9800万ドル)の補助金を受ける。資金は2回にわたって給付され、1回目は年内に最大1億0300万ユーロ、2回目は来年に最大1億4900万ユーロ。給付は合意目標を達成するかどうかによる。

キュアバックの筆頭株主で億万長者のディートマー・ホップ氏は、ワクチンの販売については競合の米モデルナ<MRNA.O>や独ビオンテック<22UAy.F>に先を越されると予想。ドイツの経済専門紙ハンデルスブラットに対して「この競争は勝てない」とし、「ただ、最善のワクチンを作る競争は勝ちたい。勝てる見込みはある」と語った。ドイツのソフトウエア大手SAP<SAPG.DE>の共同創設者であるホップ氏は、キュアバックが年末までにワクチン1億回分を生産することを目指すと述べた。

キュアバックはまた、mRNAを自動生産するプリンターの開発に向けて米電気自動車(EV)メーカー、テスラ傘下の機械設備メーカー、グローマンとの提携を強化することを検討している。これによって生産を分散化できるとホップ氏は話した。