[ニューヨーク 3日 ロイター] - 投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX、恐怖指数)<.VIX>が3日の株価急落を受けて急上昇した。相場乱高下のリスクに保険をかける動きが先行したわけだが、アナリストらは、必ずしも市場暴落の予兆ではないと指摘する。

VIXは3日、7.03ポイント上昇し、終値ベースで約10週間ぶりの高水準である33.60で終了。1日の上昇幅としては6月11日以来の大きさだった。

VIXとS&P総合500種<.SPX>は歴史的に反対方向に動く傾向があったが、最近はそのパターンが崩れ、ともに上昇していたため、投資家の間で警戒感が強まっていた。

3日のVIXの急上昇で連動する上場投資信託(ETF)も大きく動いた。 プロシェアーズ・ウルトラVIX短期先物ETF<UVXY.P>は20%急騰し、プロシェアーズ・ショートVIX短期先物ETF<SVXY.P>は6.8%下落した。

資産運用大手ブラックロックのグローバル・アロケーション・ファンドの運用責任者、リック・リーダー氏は、3日の相場急落の前に投資家は、市場が高値を更新し続けると見込み、コールオプション買いに走っていたと指摘。

「過去1週間ぐらいのコール買いや高い価格で買い続ける動きは、かなり異例の大きさに膨らんでいた」とし、「その一部が即座に手じまわれた」とした。

チャールズ・シュワブ(テキサス州オースティン)のトレーディング・デリバティブ担当バイスプレジデント、ランディー・フレデリック氏は、VIXの急上昇は相場暴落の予兆ではないと分析。

「VIXは今後2カ月間、株式市場の動きに関係なく、上昇傾向を続けるだろう」とし、「注意を払う必要はあるが、不吉な予兆ではなく、市場が崖っぷちにあるという意味でもない」と述べた。

VIXが最近、上昇傾向にあったのは、米大統領選後に期日を迎えるVIX先物と現物指数との価格差の広がりと毎月の先物の期日前に価格が収れんする動きが影響していた。

フレデリック氏は、大統領選の接近で市場の不安感は高いため、VIX先物が大きく下げ、現物指数とのかい離が縮まる可能性は低いとした。