2020/9/4

【解説】コロナもトランプも無問題。中国の輸出が「絶好調」の理由

The New York Times

パンデミックが追い風に

今年は「輸出大国」中国にとって失速の1年になるはずだった。
ドナルド・トランプ米大統領は中国製品に広く制裁関税を課していた。日本やフランスの政府は中国の生産拠点を移転するよう企業に強く働きかけていた。1月末には各地の工場が、新型コロナウイルスの感染爆発により操業停止に陥った。
だが「中国株式会社」は失速するどころか、怒濤の復活を遂げた。
2月末から3月初旬にかけて工場が操業を再開するいなや、中国は輸出攻勢を開始、今もその勢いは増している。
7月の輸出は史上2番目の高水準で、昨年12月に達成した記録に迫った。この夏、中国は他の工業国から大きく国際市場のシェアを奪い、優位性を確かなものにした。中国の優勢は、世界がパンデミックから回復し始めた後も長く続きそうだ。
コロナウイルスにもトランプ政権にも、快進撃は止められそうにない。
安く熟練した労働力と効率的なインフラだけでなく、大小さまざまな企業にパンデミック対策として追加融資を提供する金融システムも、高い回復力の要因だ。
他の輸出国に比べて、中国にはパンデミックが追い風となった。マスクや防護服などの保護具、DIY用品に家電。世界中の病院と家庭が求める品々は、中国で作られている。
対照的に、ボーイングやエアバスのジェット機といった欧米の高額輸出品に対する需要は激減。中国以外のほとんどの国がコロナ不況から抜け出せない中、途上国の輸出品(とりわけ石油)の需要も減少している。
(bfk92/Getty Images)

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