なぜ中国に勝てないのか?日本が「ベンチャー大国」になれない本当のワケ
失敗を「悪」と考えるな続出する「ユニコーン」企業
「ベンチャー大国」と聞くと、シリコンバレーが有名なアメリカを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、アメリカを追い抜こうとしているもうひとつのベンチャー大国がある。それは中国だ。
ベンチャーの中でも、創業から10年未満に10億ドル(約1,100億円)以上の企業価値へ飛躍した未上場企業は「ユニコーン」と呼ばれる。もともとは滅多に現れない存在として、伝説上の動物の名前がつけられていたが、現在の中国には数多くのユニコーンが生息している。
2020年8月、中国の民間シンクタンク「胡潤研究院」の発表した「2020年胡潤グローバルユニコーン企業ランキング」によれば、世界には586社のユニコーンが存在し、そのうちアメリカに233社(40%)、中国に227社(39%)と、米中に79%が偏在している。ユニコーンの本社所在地のトップは北京で93社、次いでサンフランシスコの68社となり、3位には上海が続いている。
個別の企業価値ランキングでは、トップ3を中国勢が独占している。上から順に、アリババ傘下でモバイル決済アプリ「アリペイ」を展開するアントテクノロジーグループ(螞蟻科技)、このところアメリカでの状況が注目されているショート動画アプリ「TikTok」を展開するバイトダンス(北京字節跳動科技)、中国における配車サービス最大手のディディ(滴滴出行)となっている。
イギリスの金融機関「スタンダート・チャータード」は、2030年の世界経済は、トップが中国、2位にインド、3位にアメリカという図式に更新されると予測している。なお、そのときに日本は9位まで落ち込むとされている。この中国経済の躍進の原動力となっていくのが、次々に生まれ、飛躍していくベンチャー企業たちである。