重度コロナ患者の死亡リスク、ステロイド薬投与で20%低下=試験
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これは、すでに医療現場では「常識的」になりつつある話題です。
デキサメタゾンは、炎症を強力に抑える働きを持つ「ステロイド薬」の一つです。COVIDで生じる行き過ぎた炎症を抑え、肺炎の悪化を防ぐ効果が期待できます。
ステロイドは、身近な例で言えば、皮膚炎に対して塗り薬として、喘息発作に対して飲み薬や注射薬として用いられており、医師として働いていると非常にお世話になることの多い薬剤でもあります。
死亡率の20%の相対的低下ないし8%の絶対的低下というのは小さな数字に感じられるかもしれませんが、12.5人に投与して1人の命を救うことができる(NNT=12.5)というのは、医療の世界を俯瞰してみると、実は非常に良い結果です。
ただし、もちろん改善の余地があり、だからこそ、まだまだ治療薬やワクチンの開発を続けなければいけないこともまた確かですが、命を助ける治療は意外と身近なところにある、ということを示す好例であったと思います。
なお、当薬剤は酸素投与を必要としない患者に投与された場合、むしろ死亡率を悪化させる可能性も示唆されており、患者の選択は十分注意が必要です。【勘違いしてはいけませんよ】
これは「重度のコロナ患者」の治療において・・・です。
酸素投与が不要な径症例に対しては効果が薄い、あるいはむしろ悪い影響ですし、そもそもこのデキサメタゾンは副腎皮質ステロイド薬ですので、不適切な使用は免疫力を低下させたり、胃を荒らしたり、血糖値が上がったり、とよくない副作用が数多く起こりますので注意が必要です。
外来に歩いてくるような患者さんに安易に使用する薬剤ではありません。