2020/10/8

【公文 社長】教材は、先生ではなく子どもたちがつくるものだ

宮本 恵理子
フリーランスエディター・ライター(Editor,Journalist)
「やっててよかった公文式」のキャッチコピーで知られる教室を展開する公文教育研究会。たった一人の高校教師の指導法から生まれたメソッドは、今や50を超える国と地域に広まり、日本発の強力なソフトコンテンツになっている。

2015年に同社初のプロパー出身社長として就任した池上秀徳氏は、創始者・公文公氏から直接薫陶を受けた経験を自身の経営哲学に昇華させたという。

今に至る原体験、創業の精神を受け継ぐトップとしてのあり方、グローバル企業が目指す「KUMON」の未来について聞いた。(全7回)

会長の衝撃的な言葉

私が念入りにつくった日本語教材を、会長はなんと言うだろうか。不安と期待が入り混じる中、プレゼンが始まりました。
いただけた時間は30分。うち28分ほど使って、どういうカリキュラムで、どんな工夫をしてつくったのか、一生懸命説明しました。
池上秀徳(いけがみ・ひでのり)/公文教育研究会 社長
1956年千葉県生まれ。1980年東京大学文学部卒業後、公文数学研究センター(現・公文教育研究会)に入社。公文式教材の制作および指導法開発に長年携わり、2003年に教材開発部長となる。2004年取締役教材開発部・教材管理室担当に就任。以降、教材・指導関連の取締役を歴任し、2014年に常務、2015年に社長就任。
会長はただじっと私の話を聞いています。机の上に置かれた教材は、一度もめくられません。
「いかがでしょうか」
説明を終え、会長の反応を待つと、一言、衝撃的な言葉が返ってきました。