(ブルームバーグ): 米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは日本時間31日、日本の5大総合商社株を5%をわずかに上回る比率まで取得したと発表した。伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の5社をそれぞれ取得した。それぞれの株式について、長期保有を目的としており、価格次第では最大9.9%まで保有比率を高める可能性があるとした。

発表資料によると、5大商社の株式は過去約12カ月間に東京証券取引所で取得した。子会社を通じて同日に関東財務局に大量保有報告書を届け出る計画で、投資先の取締役会からの合意が得られなければ9.9%を超えて取得することはないとしている。

バークシャーを率いるウオーレン・バフェット氏は発表文で、「バークシャー・ハサウェイが、日本や投資先として選んだ日本の商社の未来を共有できることをうれしく思う」とコメント。「5大商社が世界中で多くの合弁事業を手掛けており、こういった取り組みをさらに増やす可能性がある。将来、相互利益の機会が生まれることを期待している」との見解を示した。

住友商の広報担当は、大量保有報告書やバークシャーのウェブサイトで発表内容は確認しており、5%強の大株主になることからしっかりと対話したいと述べた。伊藤忠の広報担当は、世界有数の投資家が商社に関心を示してくれたことは良いニュースと受け止めており、今後の商社業界に対する起爆剤になるとの見方を示した。

三菱商の広報担当は取材に対し、バークシャーから事前に連絡があったとした上で詳細は答えられないと回答。期待に応えられるよう社員一丸となって企業価値の向上に取り組むと話した。三井物の広報担当は、取得について認識しているものの経緯は承知していないと述べた。丸紅は特定の投資家による株式保有に関してはコメントを控えるとしている。

発表を受けて5社の株価は一時前週末比6%高以上に急伸。丸紅は同14%高の666.2円と2008年10月30日以来の日中上昇率を付けた。

5社の31日の日中高値と上昇率

野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジストは、バフェット氏の取得について、米中対立が打撃となった貿易の回復に加え、「資源価格も戻るというイメージを持っていると思う。その二つの理由が考えられる」との見方を示した。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役は、米国株が高過ぎる状況になっており、「世界中を見渡して割安な株を買った発想だと思う」と分析。商社が世界のさまざまな場所で事業を展開しており、新型コロナウイルス感染問題収束後の世界経済の回復をにらんで株式を取得したのではないかと話した。

5社は5月に施行された改正外為法で、外国投資家に対して保有比率1%以上から事前の届け出を求める企業のリストに名を連ねている。ただし、金融機関の場合には役員に就任しないなど一定の基準を順守していれば事前届け出は免除され、10%を超えた場合の事後報告が義務付けられている。

(4段落目以降に商社のコメントを追加し、株価を更新します)

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