【寄稿】 安倍晋三氏とそのレガシーとは ナショナリストか現実主義者か
BBCニュース
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日本語話者である日本人として、安倍政権の〈負の〉遺産で最も気になるのは日本語とそのレトリックにおける価値毀損だと思っている。企業不祥事などのニュースで不祥事を起こした側が「お答えを差し控えさせて頂きます」などと泰然と答えているのをよく見るようになったし、答えもになっていない答えや論点ずらしを公然と試み「その批判はあたらない」と、論旨も述べず断言し終わりにする安倍政権に典型的な日本語への向き合い方のコピーが日本中に横行するようになった。
日本語とそのレトリックの価値がここ10年で大きく棄損した責任の一端は、世情における分断の流行があり、それをSNSの炎上メカニズムが後押ししたことにも当然求められるべきだろうが、数々の居直りや論点ずらしレトリックを活発に生産し続けることで、公的言語の極致といえる政治空間における言語コミュニケーションを「醜態」と呼ぶに値するほど無価値なものに追いやった安倍政権の日本語運用の責任も少なくないと思う。
「自衛隊の行ったところが非戦闘地域だ」などなど、言語道断なレトリック例は自民党政権においてこれまでにも存在してきてはいたが、安倍政権の特徴は、それらは例外ではなく基本モードになっていることだ。こうした言語道断なレトリックを百回でも二百回でも繰り返すことで「これが新しい常識なんだ」という誤った認識を日本中にブン撒いた。
これは「政治に対する国民の信頼を損なった」などという軽いものではない。日本語と、日本語によって語られるモノゴトへの信頼を損なう、文化破壊行為だと考える。
クソ・クソ・クソ・クソという安倍政権への評価は今後いささかも変わることはないだろう。