[香港 26日 ロイター] - 中国電子商取引大手アリババ・グループ<BABA.N> <9988.HK>傘下の金融会社アント・グループによる香港と上海での新規株式公開(IPO)計画は、今年上期のIPO番付で世界第5位に落ちた香港取引所<0388.HK>にとって、巻き返しの起爆剤となる可能性がある。

アント・グループは25日、香港と上海の中国版ナスダック「科創板」の双方に上場し、最大300億ドルを調達する計画を申請。実現すれば世界最大のIPOとなる可能性がある。

香港は中国政府による「国家安全維持法」の導入と、それを受けて米国が香港への優遇措置を停止したことで、金融センターとしての将来に暗雲が漂っている。

リフィニティブのデータによると、香港は昨年、IPOとアリババによる重複上場を合わせた規模が世界首位になったが、IPOのみでは3位にとどまっていた。IPOは18年の番付ではトップだった。

IPOは今年上期では、米ナスダック、米ニューヨーク証券取引所、科創板、上海証券取引所に次いで5位に転落している。

今年末にかけては、香港と競合する取引所では大型IPOがほとんど計画されていない。

<存在感増すハイテク企業>

アントは香港、上海それぞれの取引所での調達予定額を明らかにしていない。

マーカム・バーンスタイン&ピンチャクのドリュー・バーンスタイン共同会長は「香港は国際的な機関投資家と、交換可能な通貨へのアクセスを提供する一方、上海は国内投資家から、より幅広い参加が見込めるかもしれない」と話した。

香港証取のデータによると、主要株価指数ハンセン指数はハイテク株が時価総額の25.1%を占めている。15年はこの割合が8.6%にとどまっていた。

資本市場コンサルタントのフィリップ・エスピナス氏は「香港市場は変化しており、不動産企業や金融機関に代わり、巨大インターネット企業がますます存在感を増している」と述べた。

香港証取はアントの上場についてコメントを控えた。アントが上場計画を発表した7月20日、証取の李小加(チャールズ・リー)最高経営責任者(CEO)は、「世界を代表する国際的IPO市場」としての香港の位置付けを確認するものだと述べていた。

(Scott Murdoch記者)