(ブルームバーグ): トランプ米大統領は共和党全国党大会最終日の27日夜、同党大統領候補指名を正式に受諾した。受諾演説では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)や米国の人種的分断への対応で民主党や同党大統領候補のバイデン前副大統領を信頼できないと主張し、自らの再選への支持を国民に訴えた。

トランプ氏は「2期目には、歴史上最高の経済を再び築き、速やかな完全雇用の回復と所得向上、記録的繁栄をもたらす」考えを示した。

これまで明確にしてこなかった2期目の政策課題についてトランプ氏は、減税と10カ月で1000万人の雇用創出に加え、米国を「世界の製造業超大国」とし、「中国依存を終わらせる」と公約。米国が初の女性月面着陸を実現させる方向にあり、火星に国旗を立てる初めての国になると表明した。

トランプ氏は「この選挙でアメリカンドリームを救うのか、われわれが大切にしてきた運命を社会主義者による政策で破壊させるのかが決まる」と指摘。さらに、「米国の生活様式を防衛するのか、それともそれを完全に破壊する急進的運動を許すのかを決める選挙だ」と述べた。

リアルクリアポリティクスの全米調査平均によると、トランプ氏はバイデン氏に支持率で7.1ポイント後れを取っている。トランプ氏は有権者に対し「国を壊すのに多大な時間をかけてきた民主党が、国を率いるとどうして言えるのだろうか。これは簡単な質問だ」と問い掛けるとともに、バイデン氏について「中国や他の遠い国々に雇用を移す法案に賛成票を投じた」とし、「米国の雇用の破壊者」だと非難した。

トランプ氏の長女でホワイトハウスのアドバイザーを務めるイバンカ・トランプ氏は、父が「ワシントン入りした理由は1つだけ。それは米国を再び偉大にするためだ」と指摘。「父には強い確信がある」が、過去の大統領には父のような必要な改革を行う「胆力」がなかったと批判した。

ホワイトハウスの南側芝生広場での受諾演説の冒頭、27日未明にルイジアナ州に大型ハリケーン「ローラ」が上陸したことについてトランプ氏は、被災者に見舞いの言葉を述べた上で、「猛烈なハリケーンで、150年で最大級の上陸となったが、24時間前に想定されたよりも犠牲者は少なかった」と付け加えた。エドワーズ州知事によれば、倒木で住宅が損壊し4人が死亡した。

大会では複数の登壇者もバイデン政権誕生なら米国は安全でなくなると主張した。トランプ氏の友人で助言者でもあるジュリアーニ元ニューヨーク市長は、民主党は「犯罪者寄りで、警察に反対する政策」を求めていると述べ、「民主党がニューヨークにしたことを米国にさせてはならない。民主党は明らかに欠陥のある候補への投票を呼び掛けている」と主張した。

党大会には複数の黒人スピーカーも登場した。トランプ政権の閣僚で唯一黒人のカーソン住宅都市開発長官は、民主党には「トランプ大統領が人種差別主義者だと主張して分断をあおりたがる人が多いが、これ以上の間違いはないだろう」と述べた。

トランプ大統領は「民主党大会では政策課題についてほとんど聞かれなかった。それは政策課題がないからではなく、彼らの政策課題が主要政党の候補が打ち出したものとしては最も極端な提案であるからだ」と論じた。

新型コロナ対策については、トランプ氏は自らのパンデミック対応を擁護した。ただ、米国の新型コロナ感染死者数は18万人を超えており、再選を脅かす事態となっている。23日に発表されたCBSニュースの世論調査結果によると、新型コロナ対策が「うまくいっていない」と答えた有権者は約62%を占め、全体的に良好との回答は27%にとどまった。

原題:Trump Goes All-In on Biden Attacks and Promises for Second Term(抜粋)

(トランプ大統領の演説内容を追加して更新します)

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