2020/8/30

【必見】韓国コンテンツの今を象徴する「10作品」

国際社会文化学者/ タレント(ホリプロ所属) 株式会社BeautyThinker CEO
教養を身につけたいけれども、忙しすぎて学ぶ時間が取れない。一方で、日々のニュースだけでは、体系的な知識を得られない──。
そんなビジネスパーソンに向けて、NewsPicks編集部が月ごとにテーマを設定し、専門家による解説をお届けする新企画「プロピッカー新書」。毎週末に記事を掲載し、計4本で「新書1冊分の知識」が身につくはずだ。
今月のテーマは、「韓国コンテンツ」。Netflixで常に上位にランクインしている『愛の不時着』『梨泰院クラス』や、社会現象ともなっているアイドルオーディション企画の「Nizi Project(虹プロジェクト)」など、2020年になって、韓国コンテンツのヒット作が続々と生まれている。
なぜ今、韓国コンテンツは再び流行しているのか。『冬のソナタ』が2003年に日本で放送されてから約20年間で、劇的な進化を遂げた韓国コンテンツの秘密について、韓国文化の研究者でNewsPicksプロピッカーのカン・ハンナ氏が、4回にわたって解説する。
最終回となる第4回は、カン・ハンナ氏が厳選した必見の韓国コンテンツ10選をお届けする。
前回まで3回にわたって、韓国コンテンツが産業として世界に受け入れられるようになった経緯と、ビジネス戦略をお話ししました。
人間の内面にフォーカスし、メッセージ性の強い作品が国境を超えて共感を呼ぶ韓国コンテンツ。本連載をきっかけに、興味を抱いてくださった皆さんが楽しめる作品を10点、ドラマ、映画、K-POP、書籍から紹介します。

『不時着』『梨泰院』だけではない

◆『マイ・ディア・ミスター』(2018年、tvN)
韓国ドラマが、ここまで人間を深く描き、物語をおもしろく展開できるようになったのかと感激した作品です。私の人生の中でも一番にランクインします。
左遷されながらも建設会社の正社員として働く主人公ドンフンと、同じ部署に勤める契約社員のジアン。2人とも、人に知られたくない陰の部分を抱えています。ある事情からドンフンを陥れようとするジアンですが、そうとは知らないドンフンは、彼女が孤独な人生を歩んできたことを知って助けるようになります。
このドラマは、立場の弱い人間、そして人の弱さに焦点を当てています。社内トラブルや個々の事情により、たびたび道を踏み外しそうになりながらギリギリのところで「人としてあるべき生き方」を見せてくれる登場人物たち。そうした心理の描き方が絶妙で、見ているうちにどんどんはまっていきます。
ドンフン役を務めるのは、映画『パラサイト』で裕福な邸宅の主人を演じたイ・ソンギュン。ジアン役のIU(アイユー)は国民的歌手としてヒット曲をいくつも出していますが、女優としての演技も見応えがあります。こうした俳優陣の名演技が、視聴者をさらに引きつけています。
ところで、本作品は2018年の制作ですが、Netflixが放映権を買い、配信を始めたのは今年になってからです。過去の作品を取り上げることが少ないNetflixがピックアップしたことに、Netflixの作品を見る目と、今これを流す意義が、韓国内で話題になりました。

◆『トッケビ』(2016年、tvN)
日本にもファンが多い作品です。「これで韓国ドラマにはまった」「人生最高のドラマ」と絶賛する人も珍しくありません。
「トッケビ」とは、韓国語で「お化け」や「鬼」を意味します。高麗時代、王の嫉妬により逆賊として命を落とした主人公シン。永遠の命を生きるトッケビを成仏させることができるのは、「トッケビの花嫁」だけ。900年後、シンをトッケビと見抜く人間の女の子と出会い……というストーリー展開です。